2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

サバルタン、もしくは複数的な私

mojimojiさんがsivadさんの記事に応答された、こちらのエントリー、そしてお二人の対話を、たいへん興味深く読ませていただいた。 とくに、「想像力」のある人とない人がいるのでは、というsivadさんのお話、そして「ない人」を組み込むような社会の倫理的な…

今日、心に残った言葉

このところ身辺が落ち着かず、なかなかブログに集中する時間がとれない。 ぼくが住んでいる地域に『BIRD'SEYE』というフリーペーパーがあり、駅のホームなどに置かれている。 その映画欄に『NOBのオソ・オシプシオ!』*1という連載コラムがあって、韓国に語…

意欲なき生は・・

前回のエントリーで紹介した論文に触発されて、自分なりに考えていることをメモ。 http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20070524/p1 田原さんの例から言えること。 社会生活に対する自明性を持つことが「意欲」が生じることに関係しており、少なくともそこ(現在の…

『若者の生活と労働世界』から、湯浅・仁平論考に関して

若者の労働と生活世界―彼らはどんな現実を生きているか作者: 本田由紀出版社/メーカー: 大月書店発売日: 2007/05メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 207回この商品を含むブログ (41件) を見るこの本の最終章、『若年ホームレス 「意欲の貧困」が提起する問…

動員される非労働とベーシックインカムへの不安

「働けない」とか「働かない」ということにより生じる状態、狭義には賃労働をしていないという意味で「非労働」と名指せるような状態をどう考えるか。 個人や「社会」のレベルだけでなく、政府にとっても産業界にとっても、これは大きな課題であり戦略目標と…

辺野古・戦場

事情があって、インターネットを落ち着いて見る時間がなかなかないのだが、いま一番気になっているのは、やはり辺野古のことである。 今回は、自衛隊の艦船も現地に派遣され、非常に大がかりなことになっている。 http://henoko.jp/info/ きのう、日曜日のNH…

生産と倒錯

最近、「生産力」ということについてよく書いてるわけだが、もともとなんでこのことに拘るようになったのか、もう忘れてしまった。 ただ、昨日もとりあげた例の人の主張にしてもそうだが、いわゆる「新自由主義的」な言説を目にして違和感をおぼえることのひ…

ニーチェの言葉など

ニーチェはこう言っていた。きわめて真実なことであるが、物事の進化と呼ばれるものは、「多少とも暴力的な、多少とも無関係な屈従の現象の、ある恒常的連続のことである。ただし、常に抵抗がまき起こり、防衛や反応をめざして行われる変身の試みがあり、つ…

「でも中国が、・・・」という言い訳について

先日のエントリーに、例の常連コメンテーター氏が、また色々と批判を書いてきてて、それによると、日本がもっと再分配や過剰な労働の抑制に配慮した仕組みに転換していこうとすると、たいへんな結果を招くのだそうだ。 彼の言い分を聞いてみよう。 適度なラ…

サルトル『ユダヤ人』

彼は、社会が悪いことを理解し、しかも、正統でないユダヤ人の素朴な一元論に、社会の複数論を対立させる。彼は、自分が別もので、触れてはならぬもので、恥かしめられ、追放されているのを知っていて、そういうものとして、自分の権利を主張するのである。(…

ブログと身体

自分がブログに何かを書くとき、それは「私が」書くわけだが、この「私」というものに、どれだけの重さがかかっているか、ということを考える。 ぼくの場合、あまりかかっていない場合が多いのは、それをしないでもやっていける、ある種特権的な位置からもの…

kmizusawaさんのこと

楠絶えず風生む母の日なりけり 今村俊三 この句をエントリーの冒頭にもってくるのは二度目だが、毎年この時期になるとかならず思い出す。好きな句なのである。 さて、ご存知の方が多いと思うが、『kmizusawaの日記』さんが更新を停止されるとのことである。

映画『ウリハッキョ』関西上映

韓国の映画監督とスタッフが、北海道の朝鮮学校に長期滞在して作り上げたドキュメンタリー『ウリハッキョ』の上映が、大阪と神戸で行われます。 下のサイトで、この作品のレビューを読めます。http://cinemakorea.org/korean_movie/column/column180.htm 自…

生産性について

困窮している他人を助けようとしても、生産性の低い社会であっては、それはおぼつかないではないか。弱者を救おうと本気で思うなら、効率や競争を重視して、生産性の高い社会を作るしか道はないのだ。 本気かどうか、こういったことを言う人がいる。 もし本…

アエラの記事「棄てられるがん患者」を読んで

普段、雑誌というものをあまり読まないのだが、これは表題の見出しが電車の中吊り広告にあるのを見て、すぐに買った。 記事の内容は、病院死を減らして「在宅死」の割合を増やすことを推進するという厚生労働省の方針転換により、末期のがん患者など死を目前…

欲望としての記憶

たとえば、どうかすると認知症に近いのではないかと思われるような印象の高齢の人が、なにかのきっかけで過去のあるときの鮮明な記憶を語りはじめる場合がある。さらに驚かされるのは、それが繰り返されるたびに、情景や事柄の細部まで克明に反復されるとい…

『私的所有論』

形容する言葉が見つからないような本である。 本好きの人には、「まずこれを読め」とすすめたい。そう言っても、おいそれと読み通せるような代物ではないのだが、とりあえず当たってみろとも言いたい。 本を読む習慣があまりない人や、何かの事情で読めない…

逆転の発想

いやー、ピンクカメオにはビックリした。 どうも牝馬が来そうな気がしたのだが、イクスキューズではなく、まさかこちらの方とは。 内田博幸の腕を誉めるのが妥当なのかな、やっぱり。 騎手の話というと、以前年配の競馬ファンの女性と話していて、驚いたこと…

「器官なき身体」覚え書き

立岩真也の『私的所有論』について書こうと思ったのだが、続いて読みはじめた『アンチ・オイディプス』(河出文庫)が、なかなか壺にはまるところがあるので、ちょっとだけ引いておきたい。 この本は、何十年か前に読んだのだが、ほとんど分からなかったと思う…

共感する力は「能力」か?

昨日のエントリーのブックマークにkmizusawaさんが、能力というより向き不向きのようなものがたしかにある、といったことを書いてくれてたけど、たしかにあそこに書いた他人の困窮への「感受力」みたいなものまで「能力」と名づけてしまうのは、ぼく自身の能…

マダガスカル日和

好天の某日、とある小さな小さな展示館(ギャラリー)で開催中の、マダガスカルについての展示をぶらりと見に行った。 一人で見ていると、館員らしい研究者の方が案内を申し出てくださり、丁寧に解説をしていただいた。 以下は、そこで聞いた話。