2022-01-01から1年間の記事一覧

『ウォークス 歩くことの精神史』

これは恐ろしく読みごたえのある本だった。原著の出版は2001年頃。 ウォークス 歩くことの精神史 作者:レベッカ・ソルニット 左右社 Amazon 書いてあることの要点は、ひとつには、著者が重視する「歩行の文化」とは、西洋近代において、特に産業革命以後…

『国家をもたぬように社会は努めてきた』

http://www.rakuhoku-pub.jp/book/27323.html この本は、クラストルへのインタビュー(70年代だったか?)が主内容となっているが、訳者でもある酒井隆史による法外に長い「解題」が付されており、共著といってもよい内容である。酒井の文章は、この夭折し…

『人はなぜ記号に従属するのか』

人はなぜ記号に従属するのか 新たな世界の可能性を求めて 作者:フェリックス・ガタリ 青土社 Amazon この本の原著は、ガタリが1970年代後半に書き残していた文章を、死後ずっと経ってから他の人が編集して(2011年に)出版したものらしい。 すごく難…

『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』

台湾、あるいは孤立無援の島の思想 作者:呉叡人 みすず書房 Amazon この本で特に印象深かったのは、国民党の馬英九政権に対して、台湾の社会運動が強力な抵抗を行い、民進党への政権奪回を実現したばかりか、民進党の政策を多文化主義的・脱資本主義的な方向…

『三ギニー』

三ギニー (平凡社ライブラリー) 作者:ウルフ,ヴァージニア 平凡社 Amazon ヴァージニア・ウルフの『三ギニー』は、第二次大戦前夜である1938年の状況下に、反戦をテーマとしてフェミニズム的な立場で書かれた傑作だ。これを評論と呼ぶべきか、フィクショ…