『官僚制のユートピア』

官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則 作者:デヴィッド・グレーバー 出版社/メーカー: 以文社 発売日: 2017/12/11 メディア: 単行本 新自由主義に覆われた今日の世界のあり方を、(一般的な見解とは異なって)全体主義的官僚…

『先史学者プラトン』

先史学者プラトン 紀元前一万年―五千年の神話と考古学 作者:メアリー・セットガスト 出版社/メーカー: 朝日出版社 発売日: 2018/04/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) とにかく面白い本だ。 内容も驚きの連続だし、原著が素晴らしいのだろうが、訳文も、…

南京証言集会にて

12月7日(土曜日)、大阪天満のPLP会館であった南京証言集会に行った。 特に印象深かったのは、今年92歳になる幸存者の男性のお話(南京で収録された映像)で、この人は日本軍による虐殺で3人の肉親を失った方だが、最後にこう言われていた。正確では…

国場幸太郎『沖縄の歩み』

国場幸太郎の伝説の名著ともいわれる『沖縄の歩み』が、今年6月、岩波現代文庫から修正を加えて再版された。この本は、施政権返還から間もない1973年に、牧書店というところから、青少年向けのものとして出版されたそうだが、平易な文章でありながら重…

『ジハードと死』

本書で著者は、宗教の過激化(原理主義)と、過激性の宗教(イスラーム)化とを区別している。 前者は、移民やグローバリゼーション、それに世俗化(ライシテ)といった原因によって引き起こされている「宗教の脱文化」(宗教が文化から切り離されること)と…

大道寺将司句集『残の月』

『残(のこん)の月』は、大道寺将司の2012年から15年までの作を収めた句集である。 死刑囚であったことに加え、晩年の2010年以降はガンとの闘病も重なっていたからだろうが、自分の生命(それは国家ではない、別の何ものかによって生かされていた…

『うどん屋にて』 昨日、中之島であった抗議集会とデモに行く途中、入ったうどん屋でたまたま中継を流してたので、新天皇が即位にあたっての所信表明みたいなのをする場面を見た。 各局が昼間は特別番組を組むのかと思ってたが、NHK以外は通常営業のワイドシ…

『東アジア反日武装戦線』を見て

先週末、京都市内で『東アジア反日武装戦線』という韓国のドキュメンタリー映画の上映会があり、参加した。 1970年代に日本で起きた有名な一連の事件と、関係者のその後を題材としたものである。監督のキム・ミレさんは、韓国で労働問題を題材に映画を撮…

『日本の政治』を見て

いま、神戸映画資料館というところで、戦後の労働組合の映画の特集上映をやっていて、昨日の土曜日はその第一回目ということで、見に行った。 僕が見たのは、1949年に国労が作った『号笛なりやまず』から、1960年の三池闘争の映画までの何本か。 感…

『資本論』第三巻から

資本論 6 (岩波文庫 白 125-6)作者: マルクス,エンゲルス,向坂逸郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1969/07/16メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る

『鎖国前夜ラプソディ』

鎖国前夜ラプソディ 惺窩と家康の「日本の大航海時代」 (講談社選書メチエ)作者: 上垣外憲一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/02/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る 秀吉の一度目の朝鮮侵略である文禄の役の直前のこ…

『中動態の世界』

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)作者: 國分功一郎出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2017/03/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (28件) を見るこの本は、昨年出版された日本の人文書のなかで、間違いなく最も話題になった本…

『西南役伝説』

西南役伝説 (講談社文芸文庫)作者: 石牟礼道子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/03/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 石牟礼道子のこの本は、20年以上にわたって書き継がれた10篇ほどの短い文章からなっているのだが、その中でも…

『資本論』読書メモ・子どもの権利とラディカリズム

『資本論』が書かれた19世紀中頃のイギリスでは、さまざまな労働法制が(数十年にわたる闘争と論議の末に)成立していったわけだが、そのなかでも、工場などにおける子ども(早い場合、6歳頃から)の長時間労働を法律で禁止するかどうかが、大きな問題と…

『私はあなたの二グロではない』

『私はあなたの二グロではない』という映画を見た。 これは、アフリカ系アメリカ人の作家ジェームズ・ボールドウィン(男性同性愛者であることも明かしていたという)の文章と発言の映像を軸にして、米国の黒人差別と解放運動の歴史を描いたドキュメンタリー…

『ポスト・オリエンタリズム』

ポスト・オリエンタリズム――テロの時代における知と権力作者: ハミッド・ダバシ,早尾貴紀,洪貴義,本橋哲也,本山謙二出版社/メーカー: 作品社発売日: 2017/12/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る近所の図書館にあることを知って、さっそく…

『眉屋私記』

眉屋私記 (1984年)作者: 上野英信出版社/メーカー: 潮出版社発売日: 1984/03メディア: ? クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る上野英信のノンフィクション『眉屋私記』は、以前から読みたかったが、最近やっと読めた。

『ゾルゲ事件とは何か』

ゾルゲ事件とは何か (岩波現代文庫)作者: チャルマーズ・ジョンソン,篠崎務出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/09/19メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る だいぶ前から読みたかった本だが、先日、やはり図書館で借りてきて読んだ。 僕は引…

『ヴァレンシュタイン』

このごろ私どもが眼にするのは、 かつて百五十年前、ヨーロッパの国々が、 悲惨な三十年戦争の尊い成果として喜び迎えた、 堅牢なはずの古い秩序が崩壊している姿です。 そこで、いまいちど詩人の空想を動員して、 あの暗かった時代を皆さま方のお眼の前によ…

バーリン『自由論』

自由論作者: アイザィア・バーリン,小川晃一,福田歓一,小池銈,生松敬三出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2000/06/06メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (24件) を見る

『生政治の誕生』(読了)

ミシェル・フーコー講義集成〈8〉生政治の誕生 (コレージュ・ド・フランス講義1978-79)作者: ミシェルフーコー,Michel Foucault,慎改康之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 41回この商品を含むブログ (58件) …

『生政治の誕生』(アメリカの新自由主義)

ミシェル・フーコー講義集成〈8〉生政治の誕生 (コレージュ・ド・フランス講義1978-79)作者: ミシェルフーコー,Michel Foucault,慎改康之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 41回この商品を含むブログ (58件) …

『生政治の誕生』(ドイツの新自由主義)

ミシェル・フーコー講義集成〈8〉生政治の誕生 (コレージュ・ド・フランス講義1978-79)作者: ミシェルフーコー,Michel Foucault,慎改康之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 41回この商品を含むブログ (58件) …

『生政治の誕生』(読み始め)

ミシェル・フーコー講義集成〈8〉生政治の誕生 (コレージュ・ド・フランス講義1978-79)作者: ミシェルフーコー,Michel Foucault,慎改康之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 41回この商品を含むブログ (58件) …

『天皇制の隠語』

天皇制の隠語作者: スガ秀実出版社/メーカー: 航思社発売日: 2014/04/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 3年ほど前に出版された本だが、すごく読み応えがあった。 「オクシデンタリズム」とか「人的資本」とか「イソノミア」とか、きっ…

『死の家の記録』

ドストエフスキーの『死の家の記録』は、先日記事を書いた『二つの同時代史』のなかで激賞されていたので興味があったところ、たまたま近所の古本屋の店先で、中村白葉訳による岩波文庫の旧本(第一版は戦前に出ているが、現物は戦後の刷)が一冊50円で売…

『コーラ』32号

Web評論誌『コーラ』の新しい号が発行されましたので紹介します。 広坂朋信さんの連載<心霊現象の解釈学>、今回は「父の怪談」というタイトルで書かれています。 (以下転載) ◆Web評論誌『コーラ』32号のご案内 ★サイトの表紙はこちらです(すぐクリッ…

『二つの同時代史』

二つの同時代史 (岩波現代文庫)作者: 大岡昇平,埴谷雄高出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/12/16メディア: 文庫 クリック: 17回この商品を含むブログ (10件) を見る だいぶ前に読み終わってたのだが、以下に書くことが気になって、なかなか感想を書けな…

『ヴィルヘルム・テル』

ヴィルヘルム・テル (岩波文庫 赤 410-3)作者: シラー,桜井政隆,桜井国隆出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1957/09/05メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 岩波文庫の『花田清輝評論集』を読んでたら、花田がシラーの『ヴィルヘルム・テル』(180…

『講座 現代反体制運動史』

ここ二年ほどかけて、韓国の運動家の友人などと一緒に行ってきた『講座 現代反体制運動史』(青木書店)の私的な読書会が、今日、ようやく終わった。