2020-01-01から1年間の記事一覧

『マツタケ  不確定な時代を生きる術』

マツタケ――不確定な時代を生きる術 作者:アナ・チン 発売日: 2019/09/18 メディア: 単行本 『人間が発生を管理することができないキノコの生命は、わたしたちが所与のものと考えていた社会が崩壊したときには、恵みであり、拠りどころともなる。(p5)』 …

『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』

宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか 作者:ロジャー ペンローズ 発売日: 2014/01/24 メディア: 単行本 この本は、専門的な内容はまったく理解できなかったが、非常に面白く読んだ。 あまりにも面白いので、読み終わるのが惜しく、途中までは読むつもりがな…

『猿と女とサイボーグ』・その2

猿と女とサイボーグ ―自然の再発明―新装版 作者:ダナ・ハラウェイ 発売日: 2017/05/25 メディア: 単行本 『猿と女とサイボーグ』について、前回の記事では、所収の文章の中で最も有名な「サイボーグ宣言」について、少しだけ書いたのだが、あらためて全編を…

『猿と女とサイボーグ』

猿と女とサイボーグ ―自然の再発明―新装版 作者:ダナ・ハラウェイ 発売日: 2017/05/25 メディア: 単行本 この本は滅茶苦茶難しいんだけど、とても繊細で力強い。 とくに、レーガン政権下の1985年に書かれた「サイボーグ宣言」。 そのなかでハラウェイは…

『橋川文三 柳田国男論集成』

柳田国男論集成 作者:橋川 文三 発売日: 2002/09/01 メディア: ハードカバー 、全部読んだわけではないが、(図書館での)貸し出しの期限をだいぶ過ぎたので他の本と一緒に返却。 読み応えあった。 戦後の柳田ブームのきっかけになったと言われる「柳田国男 …

『天然知能』(郡司ぺギオ幸夫)

天然知能 (講談社選書メチエ) 作者:郡司ペギオ幸夫 発売日: 2019/01/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この本は、僕にとってはすごく難しい内容だったのだが、最後の方の部分で、考えさせられるところがあった。それをとくに書いておきたい。 まず、表題…

吉川幸次郎『杜甫私記』

この本は1980年に出たものだが、内容は、1950年著者の吉川幸次郎が40歳の時に刊行された「杜甫私記」と、その約15年後に発表された続編「続 杜甫私記」とを併せたもの。 以下の引用は、いずれも「杜甫私記」の方からとっている。 杜甫という人は…

ジェイムソン『21世紀に、資本論をいかに読むべきか?』

前回に書いた「オリガーキー」という言葉だが、ググってみたら寡頭制のことだと書いてあった。少数の人間が支配する政体のことで、多数支配を対義語とする、とあった。まあ、今の日本の実態にほぼあてはまりそうである(今だけか?)。 さて、この本も図書館…

シュトレーク『資本主義はどう終わるのか』

新型コロナで緊急事態宣言が出された時、図書館が閉館に入るというので、急遽近傍の図書館に行って何冊か借りたうちの一冊。そろそろ返すことになりそうなので、その前にここにメモをとっておこう。 この本は、2008年のリーマンショックをうけて書かれた…

ガタリ『三つのエコロジー』

この本の表題になっている論考は、1989年に発表されたものだそうだ。 当時の世界的な関心事として、ここでは特に三つの出来事が例に挙げられている。それは、チェルノブイリとエイズ、それにドナルド・トランプによるNYとアトランティックシティの貧困層…

カール・ポランニー『経済の文明史』

経済の文明史 (ちくま学芸文庫) 作者:カール ポランニー 発売日: 2003/06/01 メディア: 文庫 カール・ポランニーが、市場メカニズムに支配された19世紀以後の自由主義的資本主義を批判して、「労働、土地、貨幣」の三つの擬制(フィクション)ということを…

『官僚制のユートピア』

官僚制のユートピア テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則 作者:デヴィッド・グレーバー 出版社/メーカー: 以文社 発売日: 2017/12/11 メディア: 単行本 新自由主義に覆われた今日の世界のあり方を、(一般的な見解とは異なって)全体主義的官僚…