『ブロークバック・・・』反省

ブロークバック・マウンテン』の感想を下のように書いたわけだが、考えが足りなかったかもしれない。

性愛だから、エゴイズムを批判するつもりはないけど、そこへ突っ走るわけでもなく、都合のいい「男の美学」みたいなのがやっぱり鼻につく。


こう書いたが、「突っ走ろう」とすれば社会から排除されることはもちろん、リンチされて殺されかねない現実があった、ということをあの映画は描こうとしたわけだ。
社会から排除されかねないという意味では、いまの状況もそれほど変わっていないのだろう。
そのへんをちゃんと押さえた上で書くべきだった。
申し訳ないです。


その上でやっぱり、「現実」の描き方においても、物語の構成においても、あの映画には不満が残る。
主人公たちの苦悩も、周りの人たちの苦悩や悲しみも描かれているのだが、その描き方が、「社会」にも「人生」にも「恋愛」にも届いていないのでは、と思うところがあった。
登場人物たちにとって、これではちょっとあんまりじゃないか、という感じがした。
つまり、これは自分の好きな映画ではないのだ。


ただ小さな場面だが、映画の終わりの方に出てくるジャックの年老いた両親の描き方は、不思議に印象に残った。


付記:アメリカでの同性愛者に対する暴力というのは、80年代ぐらいに激化したというふうに思ってたけど、やはり以前からあったのだと、この映画を見て分かった。