シーイズトウショウ間に合った

日曜日、セントウルステークスシーイズトウショウ。すばらしい勝ち方だった。
牝馬なのにずいぶん長く頑張ってるけどさすがにそろそろ引退だろうから、一度はこの馬で馬券を取っておきたかった。運良くとれてよかった。引退までに何とか間に合ったというのが実感だ。

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天皇賞

淀の坂越え、春の「盾」。


いくらなんでも頭は鉄板。
ヒモはトウカイトリックマッキーマックス。押さえればリンカーンまで。
お金がないので馬券は買えず(涙)。ただ、「元手が用意できないから手を出さない」というのは、勝負事としては「筋」は通る。
それと、競馬と「食うか食われるか」みたいな関係になるのも、ぼくは嫌だ。


以下は有馬記念ディープインパクトが負けた翌日(2005年12月26日付)の日刊スポーツに、ターフライターの須田鷹雄が寄せた「観戦記」の一節。
すごくいい文章だったので、いつかここに引こうと思っていた。

(前略)その様子を見ていたある人がつぶやいた。「ディープインパクトで競馬に興味をもってくれた人が、これで離れていってしまうのでは・・・」。
しかし、それで離れてしまう人は、いずれ競馬を離れてしまう人なのだと思う。ディープインパクトは「全勝」という分かりやすい記号を失ったが、魅力はそれだけではない。それを理解できないようでは、競馬の魅力も理解できないことだろう。


異論がないが、競馬についての言葉のなかで、ぼくが一番好きな一句をこれに付しておこう。


競走馬は、人間の願望を満たすために走っているわけではない。

桜花賞

Arisan2006-04-08

なにが映ってるのか分からんでしょうが、写真は山桜に昼の月です。


土曜日の阪神牝馬ステークスラインクラフトは勝ててよかった。去年の春以来、ずっと勝てなくて、このまま勝つことを忘れてしまうんじゃないかと心配してた。
二着になったエアメサイアともども、スイープトウショウとの対決が楽しみになってきた。


桜花賞は、買うならフサイチパンドラアルーリングボイスでいきたいところだ。
パンドラは、前走フラワーカップの二着は相当強い。距離が千六になって折り合えれば、ぶっちぎる可能性がある。
アルーリングのほうは、ファンタジーステークスを見たときには、「この馬に逆らっちゃ駄目だ!」と思ったものだが、続くジュべナイベルフィリーズが一番人気14着と、意味不明の大敗。これは「魔がさした」とでも考えるとしても、休み明けの前走の4着の内容は、馬が小さくまとまってしまったような印象を受けるものだった。正直、ガッカリした。これでもし今回一変するようなら、「本番はこの次で、その出走権はすでに確保している」という事情を、馬が知ってたとしか考えられない。
人気薄だし、鞍上がデムーロに変わるので期待したいところだが、正直、この馬が穴をあけるのは二年ぐらい先ではないかと思う。


明日は花見に行くので馬券は買いません。たぶん。

弥生賞は

アドマイヤムーンが勝つんじゃないかな。
フサイチリシャールに完勝した共同通信杯の内容からかんがえて、この馬はそうとう強いと思う。
相手も、サクラメガワンダーでほぼ決まりだろう。もう一頭人気になりそうなスーパーホーネットは、脚質と乗り替りが気に入らない。


だがそれよりも、びっくりしたのはオーシャンステークスのネイティブハートだ。

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敗北しない英雄はいない

クリストフ・ルメールハーツクライは、見事に「万年二着」の汚名をそそいだ。


これまでのレース振りとは一変、スタート直後に三番手につけ、そのまま好位を確保してレースを進めた。直線ではいち早く先頭に立ち、外から追い出してくるディープインパクトが並びかけるのを待って坂の直前でラストスパート。半馬身差をつけた内容は、完勝といえるものだ。
狭い内に突っ込んで追い込む競馬をやらせた前走のジャパンカップに続き、この馬にこれまでにないレースをさせて大きな結果を引き出したルメールの騎乗の見事さには、ただ舌を巻くほかない。最終コーナーで十番手以内に位置している馬が断然有利という有馬記念の特徴と、中山のコース特性を考慮にいれた、大胆な戦術の勝利でもある。


敗れたディープインパクトだが、内容としては非常に強い競馬をやったと思う。いつも通り大外を回るレースで、勝ち馬以外には完勝している。中山コースの特性を考えれば、これは強い。
しかし、きのうも書いたように大外を回る競馬をすることは、たぶんこの馬の宿命のようなもので、今回のような戦法をとる有力馬がいた場合、コース形態によっては今後も常に苦戦を強いられる可能性がある。まして来年からは、ハンデ利もなくなるのだ。


とはいえ、関係者やファンの期待(願望)や思惑はともかく、ディープインパクト自身としては、今回の結果は何も悲観するようなものではない。これも、きのう書いた通りだ。
「無傷で勝ち続ける」馬が名馬ではなく、「負けのなかから再び勝ちをつかみとる」馬が本当の名馬なのだ。
ゴール前で最後まで追撃をあきらめなかったディープインパクトには、その「素質」を見た思いがする。


競走馬が人々に与えてくれる最もすばらしい力は、幻想や願望にではなく、それをしばしば裏切る「現実」の方に属しているものである。


武豊は、ディープインパクトに「英雄」というニックネームを授けたという。
東西の神話や歴史が教えているように、敗北しない英雄というものはいない。
むしろ敗北こそが、英雄を英雄たらしめる。
名馬ディープインパクトの栄光と試練の旅路は、これから始まるのだ。

有馬記念予想

ディープインパクトが外を回る競馬しかしないのは、単純に馬体が小さいためだろう。前走、菊花賞時の馬体重は444キロ。おそらく今回(有馬記念)出走の16頭のうち、もっとも数字の小さいのがこの馬だろう。競走馬の大型化の趨勢は顕著で、なにしろ牝馬ヘヴンリーロマンスでも軽く500キロを越えているのだ。
競走中他馬と比べて二回りぐらい小さく見えるこの馬は、内に入れて馬群にもまれると消耗が大きいことが予想される。
ぬきんでた力があっても、馬場の悪い外を回ると滅多に差しきれることがない中山コースは、その意味からもこの馬には不向きである。


この小柄な競走馬が、本当にシンザンシンボリルドルフなどと肩を並べ、それを越えていくほどの名馬なのかどうか、その答えはこの有馬記念を見てからでなければ分からない。
冷静に考えると、ゼンノロブロイなど何頭かの古馬と共に、主力級の一頭を形成しているという評価が、今回は妥当なのかもしれない。
実際、昨日の時点までは、このレースの中心をディープにするつもりはほとんどなかった。


しかし昨日たまたま、九月の神戸新聞杯を見た直後に、ある競馬好きの友だちに向って「今後ディープインパクトが引退するまで、この馬のレースは馬単一点で勝負する」と啖呵をきったことを思い出してしまった。
それで、今回はこの公約を守ってみようと思う。


ディープインパクトという馬の最大のセールスポイントは、成績が示すように、これまで一度も負けていないということ、そのものだ。
これは、「不敗」であるという「絶対的な強さ」に価値があるのではなく、苦しい状況になっても他の馬に競り負けない勝負根性があるということだ。この一点で、この馬は古馬の強豪たちを一歩リードしている気がする。
これまでの戦歴のなかで、この長所がはっきり示されたのは、中山での弥生賞と、菊花賞であったと思う。
ぼくの考えだが、競馬というジャンルは、「勝ち続ける」ことよりも、勝ち負けをどうしのぐか、負けてどう立ち直ってくるかの方に価値がある。競馬で「勝たなければならない」とか「勝たなければ意味がない」といわれるのは、そういう意味である。
その意味では、ディープインパクトは、過去の超一流馬と肩を並べうる精神力を持った馬であるようにみえる。
決して楽観できない条件である今回だが、この馬が勝つことに賭けてもよいと思える理由は、これである。


ディープのことはそれでいいとして、一点買いの相手をなににするか。
古馬のなかでは、やはりゼンノロブロイが一番上位であるとは思う。
しかし、これとの比較ならもう一頭気になる馬がいる。
それは、リンカーンだ。


前走ジャパンカップの4着は、苦手東京コースを克服して、3着のゼンノとは同タイムに迫ったもの。中山なら逆転も可能ではないか。現実に、一昨年のこのレースでは、ゼンノを抑えて二着に食い込んでいる。
勝つのはディープとして、古馬最先着がこの馬でもなにもおかしくないと思う。
鞍上は、主戦武豊から乗り替わる横山典弘。上述の弥生賞菊花賞で、二度にわたって武―ディープを苦しめた騎手である。G1でこのぐらいの人気のとき、もっとも恐い騎手であることは、競馬ファンなら誰でも知っている。
一頭相手を選ぶなら、やはりリンカーンだ。


そこで、このレースの馬券は馬単で⑥から⑭の一点。
運がいいときは、これでもとれるものである。


最後に書いておくと、この有馬記念が、ディープインパクト自身にとって「絶対に勝たなければいけないレース」であるとは、ぼくは思わない。
馬券上の人気や、「不敗」「最強」といったことへの期待を言う声が多いが、馬券好きの金銭欲にも、競馬ファンロマン主義にも振り回されることなく、この馬には自分の走りをしてほしい。
「競走馬は、人間の願望を充たすために走っているわけではない」というのは、競馬に関する、ぼくのもっとも好きな言葉である。


明日も馬券は買わないで、家でレースを見てようと思う。

師走の仁川

日曜は久しぶりに競馬場に行き、馬券は買わないで寒風のなか、競馬新聞を片手にパドックやレースをずっと見ていた。午後から日陰になる阪神競馬場のスタンドは、六甲から吹き降ろす風のため、0度ぐらいに冷え込んでいたのではないかと思うが、冬競馬はこのぐらい寒くないと感じが出ない。関西でも、一月、二月の淀の冷え込みはこんなものではない。

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