2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『秋風秋雨人を愁殺す』その1 恥と革命

武田泰淳作『秋風秋雨人を愁殺す』 以前書いたが、この小説の単行本を二十年以上前、東京の西巣鴨という所に下宿していたころ、古本屋で買った。雪の非常に多い冬のことで、東京でも何度も積もった。本は、読みかけたがどうも面白くないので、ほとんど読まな…

「ひかりごけ」・文明・餓死・抵抗

武田泰淳『ひかりごけ』。 この小説の主題は重い。北海道の羅臼というところで、戦争の末期に起きたという「人肉食」の事件を扱ったものである。厳冬期、軍の補給部隊に属する一隻の船が羅臼近くの岬で難破し、数人の船員たちが周囲から隔絶された小屋のなか…

堀江社長と韓国のメディア

3日、ライブドアの堀江社長が外国特派員協会で講演を行ったが、そのなかで『(日本でも)やっとインターネットが民衆のものになったんですよ』と言ってたのには、ちょっと笑ってしまった。 いまどき日本で「民衆」という言葉を使う経営者はあまりいないだろう…

最近、町を歩きにくいのは

町角に 警官多し 雛の春 このところ、学校や子どもたちを狙った凶行が頻発しているためであろうが、特に小学校の周辺などには警備の人が多く立っている姿を見かける。また、小さい子どもたちの集団下校に先生らしい人が付き添って歩く姿も目にする。 ぼくは…

東京八景・戦時・教育

太宰治『東京八景』。 三十代の小説家である主人公が、「東京八景」という題の自伝的な小説を書くことを思い立ち、伊豆の温泉の在る村にやってきて、実際その小説を書くという話。つまり、自己言及的な小説で、大半は『東京八景』=「東京八景」なのだが、ち…