アンジェリーナ効果

アンジェリーナ・ジョリー自体は嫌いじゃないんだけど、この記事はいろんなことを考えさせる。
全体的にいうと、僕には抵抗感の強い内容だが、問題がたくさんありすぎて整理できない。
http://mainichi.jp/feature/news/20150329mog00m030003000c.html


アメリカでは遺伝子検査による人生や肉体の改変ということが、ここまで普及してしまってるのかということへの驚きが一つ。
がんになる可能性を避ける為に肉体の部位を切除するというようなことは、個人のリスクの問題(その点では、がんの可能性か切除か、どちらのリスクをとるかは難しい判断だ)だけじゃなく、周囲や社会の財政的などのリスクの少ない方の生き方を選ぶということでもあり、報道には、そういう社会的バイアス(圧力)が強いということを感じる。
ただこれは、「まだ健康な部位だから手術なんてすべきではない」ということではない。
それと、すでに乳房や卵巣を失った人が受ける偏見や社会的不利をなくしていくことと、上記のような「リスク」の少ない生を選ぶかどうかということとは、元来別の問題だろう。
偏見や社会的不利を無くすという目的で考えれば、この記事によると、外見上や考え方(夫への相談など)での「女性性」イデオロギーが強化されてるだけのようにも思えるので、そういう性的な差別や偏見を無くすことに、根本的にはつながらないだろう、とも思う。
アメリカ社会やハリウッド文化というのは、そういうものだと言えば、それまでだが。
悪く言えば、「こういう(財政的リスクを低減するような)選択をしても、あなたの社会における交換価値は低くなりませんよ」というメッセージのようにも読める記事である。