朝青龍引退

はるばる遠い国から来て、相撲というものの発展と興隆のために尽くしてくれたのに、引退にあたって一言のねぎらいの言葉も言えない、相撲関係者や評論家、マスコミ。
この国の「国民の品格」をよく示してるよ。


聞こえてくるのは、せいぜいが(私自身もそう思ったが)「いい相撲が見られなくなるのが残念だ」というような声で、当人の存在がうしなわれる痛みや、その心の在り様までを慮った発言は、ほとんど聞かれない。
そのわれわれの社会の荒廃した心が、あの若者を追い詰め、荒ぶれた心にし、暴行事件まで引き起こしたのだ。



引退の会見で、「はるばる遠い草原の国から来て・・・」という風に言ったというが、きっと当人にとっては、日本で得たものも大きかったが、傷ついたもの、失った精神的なものも大きかっただろう。
攻撃と偏見にさらされ続けた、その荒ぶれた心を、本当に受けとめてくれる人が、周囲にあまりにも少なかったか、それとも居たとしても、もはやその声が届かないほど傷は深まっていたということなのか。


たしかに言えることは、朝青龍否定派、支持派もひっくるめて、われわれは、この異国から来た若者の、良き友人にはなれなかったということだ。