ETV特集『ガザ なぜ悲劇は繰り返されるのか』

http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html


侵攻や占領・封鎖によって、ガザの人たちにどれだけの被害が出ているかを延々と紹介したのに、番組の最後に司会者が言った締めの言葉が『イスラエルパレスチナ双方の当事者の努力を・・・』だったのには、さすがに気が遠くなった。


占領が大元の原因でああいう状況が生じていると分かった上で、「双方の当事者の努力を」という発言をするのは、問題を解決する意思がないと表明してるのと同じこと。両者はまったく同じ水準に立ってないわけだから、ここでは「双方」と言えるはずがない。


番組の途中で言われていた「イスラエルユダヤ系市民の心理を理解する努力をすべき」ということと、最後の方で司会者が言った「パレスチナ側(の組織)にも努力するべき余地がある」という風な言い方とは、まったく正反対のものだ。
前者は、占領をめぐる現実をより精緻に可視化せよという要請であるのに対し、後者は、その現実の構造・力学を不可視化せよと言っているのだから。


だいたい、仮にパレスチナ側にどれだけ(イスラエルや国際社会から見て)「対話可能」な首脳部・政権ができたところで、イスラエル占領政策を根本的に変えないのであれば、「占領」という、決して「暴力の原因」ではなく、最大の「暴力そのもの」がなくならないのだから、どんな交渉によっても「平和」が実現されるはずがない。