シャコと暴力

この話は、最近書いてることとは、直接関係ないです。


先日、所ジョージが司会をしてる番組を見てたら、海に居るシャコのことをとりあげていた。
それによると、シャコという生き物は、地球上の生物のなかでもっとも凶暴ではないか、と言われてるそうだ(人間は除くんでしょね。)。
どういうことかというと、動物でいうと前足にあたるような部分、カマキリの鎌みたいになっている部分があるのだが、そこが強力であり、それを使って獲物や外敵を攻撃するらしいんだけど、一般にどんな生き物でも捕食や防御に必要な限度でしか攻撃しないのに、シャコは、相手を徹底的にやっつけ続けて粉々にしてしまうまでやるらしい。
こんなことをする生き物は、地上にも海中にも他にいないと、生物の専門家は語っていた。


実はぼくは、このシャコというものが、食べ物としてはたいへん好きで、瀬戸内海でとれたものをスーパーで買ってきて、以前は家で湯がいて皮をむいて、よく食べていた。
4年前にこのブログをはじめた次の日にも、そのことを書いている。

http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20050108/p2

そして、次の記事をめくってもらうと分かるのだが、このブログを始めた頃のテーマは、実はまさに「暴力性を考える」みたいなことであった。
そのテーマに限定して、記事を書いていこうとしてたのである。


その方針は、まもなくどこかに消えてしまって、今のようになんでも題材にする「雑食性」のブログになったのだが、考えると、「暴力性」をテーマに書き始めたブログで、最初に(そのテーマから外れたつもりで)とりあげた小ネタが「もっとも凶暴な生き物」だったというのは、どうも妙なことだ。
シャコを見たことがあれば分かるだろうが、あれほど「凶暴さ」や「暴力性」から遠い印象の生き物も少ない。
味もそうだが、見た目の印象や色合いも希薄で、全体にどことなく防御的な感じである。
ただし、皮を剥きだせば分かるのだが、その閉じこもり方の頑なさは尋常ではない。それに比例するかのように、その肉はぼろぼろと脆く、柔らかく、そして味も消え去ってしまいそうなほどに淡い。


だがそんなシャコが、まるで攻撃中枢が損なわれているかのような、限度を知らない凶暴さ(暴力性)を持つとは、まったく意外であった。
でもよく考えると、意外でなかったかもしれない。


柔らかいものは凶暴で、暴力的なものは退避的なのか。
では一体、「柔らかい(攻撃を受けやすい)」ということと、「過剰に攻撃的である」ということとは、どちらが先立っているのか?
自分の問題でもあることとして、当時のぼくはそういったことを追求してみようと思っていたのかもしれない。