犠牲者は誰か

TBをいただいた記事に返答します。
http://d.hatena.ne.jp/tatsu___kun/20090108/1231422822


TBありがとうございます。
ポイントと思う点にだけ、お答えします。

最初にお話ししますが、私は無条件即時同時停戦を求めています。過去の日記を見ていただいてもそう書いています。


イスラエル人が、彼らに贖罪があるとして、それに目覚めても、自らの町と友人がロケット弾や自爆テロで失われることを決して許さないという点には同意いただけると思います。これは人の感情としては当然です。


「無条件即時同時停戦」とありますが、イスラエルの方が一方的に侵攻してるわけですよね。少なくとも今回の侵攻に対しては、ハマスや他の組織を含めて、ガザの人たちは自衛を行ってるということではないですか?まずイスラエルに全面的な撤退を要求するということが筋であると思います。


次に、ぼくは、イスラエルの人たちが「自らの町と友人」を失うことがあってはならないと思うからこそ、自国がやってきたことを反省して、政策を全面的に変えよと言ってるわけです。
それ以外に、暴力を終焉させる解決の方向はありえないと確信します。

果たして、ハマスは軟化できるでしょうか?歴史の例を出すまでもなく、無理だと思います。それどころか、対イスラエル攻撃が有効であったという話になり、ますます攻撃を加速する可能性もあります。その場合、イスラエル国家消滅まで止まらないでしょう。


ハマスが軟化するかどうかではなく、まずイスラエルが自国の政策を変えるということが必要なわけです。
建国を行ったときからの、パレスチナの人たちに対する不正義の連続というものがあり、そのことがハマスなどの組織や一部の国家によるイスラエルへの強硬な敵対的な態度の重要な背景となり、それに対する民衆の強い支持を生み出してるわけです。


イスラエルを不当な攻撃の犠牲者のように考えておられるようですが、パレスチナの人たちへの暴力・剥奪・圧迫と、占領や経済制裁によって、この状況を作り出してきたのはイスラエルの方なのですよ。
それにイスラエルガザ地区の勢力との圧倒的な力の差を考えてみてください。「背後に他の国が居る」といっても、イスラエルの背後にはアメリカという超大国が控えてるわけですよ。
常時圧倒的な暴力と恐怖にさらされてきたのはパレスチナの側であって、イスラエルは、まず自らが作り出し続けているこの根本的な状況を改めなくてはいけません。改めることを言明し、そこに向かって動き始めなくてはいけません。それ以外に出発点はないはずなのです。

イスラエル国家がそこに存在することは純然たる事実であり、いくら過去の贖罪に目覚めたとはいえ、全てのイスラエル国民が祖国から自主的に退去することは絶対ありません。イスラエル国家が消滅するまでということは、イスラエル国民に対する重大な非人道的行為(強制移住・ジェノサイド)が彼らが中東から抹殺されるまで続くと言うことになります。過去に如何なる経緯があろうとも、そのようなことは断じて容認できることではありません。


「過去の贖罪に目覚めた」のであれば、不正義のうえに国家が存立されていることを「純然たる事実」などと言いおおせることは出来ないはずです。
しかし、不正義を積み重ねてきたことの反省の上に立って、現にある国の形を正しいもの、より非暴力的なものに作り変えるということは出来ます。
つまりイスラエルを、先住者であるパレスチナ・アラブの人たちと、移り住んできたユダヤ系などの人たちとが対等に構成する国にしていく、ということです。
それ(「一国家解決」と呼ばれるもの)がもっとも望ましい解決策でしょう。しかしそのためには、自らが行なってきた不正義を正当化したり隠蔽するのではなく、率直に認めて向き合う必要がある、ということです。
経済封鎖はもちろん、占領の解除と、入植地からの撤退などが、その重要な要素となるでしょう。
そのするべきことをしないで、自らがなした不正義のゆえに降りかかってくる憎悪や暴力を抑え込もうとするなら、最終的には今回のような(イスラエルによる)ジェノサイド的な暴力や強力な差別と抑圧の徹底以外に方法はなくなります。
イスラエルの人たちは、いまその隘路に完全にはまり込んでいるわけであり、そうさせているのは、彼らの不正義を批判しないわれわれ自身でもあるわけです。