死刑判決(訂正・追記あり)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080526/trl0805261351004-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080524/trl0805241920003-n1.htm


この死刑判決は、「厳罰化」の流れのなかでも、なにか「一線を越えた」という気がする。
犯人に前科はなく、被害者が一人であるのに、死刑判決が出ることは異例。この判決の理由は、『民主主義を根底から揺るがす行為だ』という裁判長の言葉に尽きてるのだろう。
「民主主義」(民主制という政治体制)の敵に対しては、死をもって臨むということか。
繰り返すと、「犯人に前科はなく、被害者が一人で」あっても、民主主義を脅かした者は死刑に処する、という判決である。



追記:「犯人に前科はなく」と書きましたが、この事件の被告は、前科が9犯もありました。訂正します。新聞によると、「被害者が一人」で死刑が確定しているケースも20例以上あるそうです。ただ、その多くは仮出所中の犯行であったとのこと。今回は、これには該当しません。
今回の場合、死刑判決となった理由として、「民主主義」への敵対行為ということが、とくに強調されており、そうした行為への対抗手段として「死刑」という刑罰が使用される先例となった感を受けます。死刑という法的手段が、これまでにあった是非の議論の文脈を離れて、国家にとっても(民主主義的な)社会全体にとっても正当性が自明な手段として、今後とらえられ用いられていく先例となりうるもののように思うわけです。