ワンダー中華料理屋

近所に、わりと美味しい小さな中華料理屋があるのだが、週に何日か、中国からの留学生っぽい男の人がホールを担当する。
この人の使う日本語が、たいへん独特である。


「いらっしゃいませ」とか「ありがとうございました」という言葉の、前半部、「いらっしゃい」とか「ありがとうg」ぐらいまでは確かに聞き取れるのだが、後半部がまったく別の言葉になるのだ。
「日本語にちゃんとなってないよ」と思えるようなものじゃなくて、まったく別の言語を喋ってるとしか思えない。
たぶんその人の母語の発音に近いのだろうが、広東とか南のほうの言葉みたいな感じでもある(イメージ)。
日常の感覚では「いらっしゃい」まで聞き取れれば、あとは安心して聞き流すということが普通だろうが、この店ではそのつもりで気を抜いていると、妙な感覚に襲われることになる。まるで、行き慣れた町の中華料理屋が、瞬時にして北京だか上海だかの下町の店に変貌したかのようである。
心なしか、お客さんたちも、通常以上に、「外国人の店員さんが働いている店に来てる」という感覚をもって、かしこまってる感じもある。
そのことが、なんとなく面白い。


こないだも、「四川風ナスのピリカラ炒め」というのを注文したら、「わかりました」の後の「少々お待ちください」の部分が、例の変換になったのでビビッてしまい、思わず「四川省は中国の領土です!」と叫びそうになった。