橋下知事の発言について

橋下大阪府知事の議会での発言から。
http://www.nhk.or.jp/osaka/lnews/04.html

また黒田議員が同和行政について、「部落差別は基本的に解消されており、これ以上続けることは、逆差別の意識を生むなど問題解決にとって有害で完全に終結すべきだ」と主張したのに対し、橋下知事は、「私はいわゆる同和地区で育ったが、差別問題は全く解決されていないと私自身認識している」と反論した上で、「だからといって特別な優遇措置を与えていいのかは別問題で、すべて一から総点検していく」と述べました。


「差別問題は全く解決されていない」とまで言い切る人は、今どき解放団体の幹部でも珍しいんじゃないかな?
もちろん質問した議員が所属する共産党と解放同盟との積年の政治的対立という図式がこのやりとりの背景にあるのだろうし、橋下知事自身「優遇措置」を見直すと明言してるわけだから、差別解消のために必要な予算まで実際には削減の対象になるということも十分起こりうるだろう。
また、橋下氏自身、過去に「買春はODA発言」など、差別を助長する発言を繰り返してきた事実を、決して忘れることはできない。


とはいえ、こういう公的な場で首長が差別問題の現状について、こうした認識を明言したことは、たとえば今実際に差別に悩んでいる一人の人にとっては、生き抜くための力になる可能性があることだと思う。
だから、ぼくは橋下氏の、今日のこの発言を評価したい。


そしてだからこそ、この自分の言葉の重みを深く自覚し、「あれは政治的戦略だった」とか「机上の空論だった」とか言って、言葉を簡単に翻すことは、もうしないでもらいたい。
これだけ影響力が大きくなってくると、そのひと言で、人の命を救いもすれば、奪ってしまうこともできる。
そのことへの自覚を、これから深めてほしい。