世論調査結果を見て

橋下発言への反応を含む、世論調査結果が発表されている。

http://www.asahi.com/politics/update/0519/TKY201305190225.html

http://mainichi.jp/select/news/20130520k0000m010082000c.html


「問題だ」、とか「妥当でない」というのは、必ずしも否定や批判ではない。
よく言われる「国益を損ねる」という観点からの意見も相当数含まれてるのだろう。
それでこの数字である。
7割を超える割合は、決して高いとは言えないのだ。
それでも、こうした政治家の発言を認めないということを、国や社会のあり方をより正しい方向に向けていく糸口と捉えるなら、この数字を上げていくように努力するしかない、ということだろう。


だがそれにしても、朝日新聞の調査では安倍内閣の支持率がかえって上昇していることには、暗澹とした思いがする。
繰りかえし書くが、橋下発言の背景には、新自由主義の風潮とあいまって極右化していく、社会と政治の大きな動向があり、それをまったく体現しているのが安倍政権だ。
安倍政権を生み出した社会と、安倍政権の政治こそが、橋下発言の根っこにあるものである。
その根っこへの支持をかえって強めながら、他方で自分らにとって不利益や不快感を生じさせるような発言だけを「問題」だとか「妥当でない」といって済まそうとする。
そういう人たちには、橋下発言が含んでいる害悪を本当に批判するつもりはないのだと、断じるしかない。


橋下発言が、歴史だけでなく、人権を根本から否定するようなものだということ(歴史の否定だけなら、自民党の閣僚や政治家も変わらない。いや、他のことだって変わらんのだが)、人間の生存や社会というものに対する憎悪に満ちた言葉であり、彼の政治と同様、他者とわれわれすべてにとってのひとつの攻撃であると見なすような、明確な意思表示が、多くの人によってなされる必要がある。
そのことによってしか、僕たちは他人や隣人の信頼を取り戻せないし、第一、自分自身を取り戻せない。
責任逃れの取り繕いをしたいだけのために、あらゆる事柄を機会的に持ち出してまくしたてる橋下の詭弁や冗舌が示しているのは、他人からの信頼を失った僕らの社会の醜いあり方そのものだと言える。


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橋下氏の「慰安婦は必要」発言はまさに言語道断。安倍政権の姿勢も厳しく問われている。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20130519-00025040/