社会の自堕落さと子ども

ゆうべだったか、NHKの「クローズアップ現代」で携帯サイトにおける子どもへの被害の問題がとりあげられていた。


大人による被害が増えていて、子どもに携帯を持たせないようにしたり、ネット上での規制を強める動きになってるそうだ。
ところが、これらのネット上のコミュニティーのなかには子どもたちにとって有用で価値の高いものもたくさんある。規制によって、それらのものも子どもたちが十分に使えないようになる可能性が出てくる、ということだった。
子どもたち(中学生ぐらい)のインタビューも映っていて、「規制には納得できない」みたいな声が紹介されていた。


子どもが携帯を持つことについてとか、色々議論はあるだろうけど、見ていてなんとも理不尽な話だと思った。
悪いのは、子どもたちが利用しているサイトに悪意を持って入ってくる、自分の欲望を制止できなかったり、むき出しにしたりする大人の方だろう。
また、そういう大人たちを煽ったり呼び込んだりして「危険」が生じるのを承知で商売をしている企業、要するにこれも大人たちであろう。
そしてまた、そういう欲望を抑制できない大人たちのだらしなさや厚顔さに乗っかって商売をしている、こういう恥知らずな週刊誌・出版社など、メディア産業や社会の仕組みであったりするわけだろう。
そちらの方、つまり「資本主義」とか「消費社会」と言われるような、またその枠の中で肥大しているような、大人たちの自堕落な欲望(自由)は問題にされないで、被害を受けている子どもたちの自由だけが規制されるのだ。しかも、「子どもたちを守る」という名目で。


強い者の自堕落さ(隷属)のつけを、弱い者、子どもたちだけが払わされる。
こんな社会は、まったくおかしい。
ほんとうに「子どもを守る」には、大人たち自身が、自分の欲望や行動を隷属から解き放つ以外にはないのだ。