あるソノシートの思い出

ソノシート付き雑誌で有名な会社、朝日ソノラマが解散するというニュースが入ったので、ちょっとソノシートの思い出話を。
ソノシートとは、こういうものです。
http://www.cdjournal.com/main/research/research.php?rno=2110


子供の頃、うちにもソノシートというものが二、三枚だがあった。
ぼくが忘れられないのは、ウルトラマンに出てくる怪獣が、「地球出身」と「宇宙出身」の二手に分かれてたたかうというもの。題名は忘れたが、たぶん「怪獣大戦争」とか、そういう感じだろう。怪獣を出生地で分けてたたかわせるという発想は、テレビの方にはまったくなかったものである(もっとも、映画では「妖怪大戦争」とかでそういう設定が見られるので、そこから来たものかもしれない)。
よく知られているように、ウルトラシリーズには沖縄出身の金城哲夫をはじめ、何人か有名なライターがいるわけだが、ソノシートの制作にもその人たちが関わってたかどうかは分からない。
それで、この戦いはやはり(というか)「地球出身」の方がなんとなく善玉という設定であり、侵略してくる「宇宙出身」グループを迎え撃つわけである。「宇宙出身」の方のリーダーは、初代ウルトラマンの最大のライバルだったバルタン星人。というより、「宇宙出身」怪獣は、バルタン星人に操られてる感もある。そして、最終的には形勢が「宇宙出身」の方に有利に傾きかけたところで、「地球出身」グループの助っ人として唐突にウルトラマンが登場し、侵略者をやっつける、という終わり方になってたと思う。ウルトラマンは地球出身じゃないんだけど・・。まあ、在日米軍みたいなもんですな。


さて、この話で一番ポイントになるのは、ピグモンという、人間ぐらいの大きさのミニ怪獣である。ピグモンは、地球に落ちてきた隕石が割れて、そこから生まれた。つまり、もとをただせば宇宙出身ともいえるが、生まれた場所自体は地球である。
それで、怪獣たちのたたかいがはじまったとき、自分はどちらにつくべきかで悩むのだが、なんとなく「宇宙出身」の方につく。しかし、たたかいの様子をみるうち、「宇宙出身」グループのあまりにえげつないやり口に嫌気がさし(というか、正義に目覚め?)、最後の土壇場で「地球出身」グループに鞍替えするのである。
それを見たバルタン星人が腹を立て「きさま、裏切ったなあ!」と叫んだときに、ピグモンが返した台詞が、いまだに忘れられない。




「裏切ったんじゃない、表返ったんだ!」




子供心に、「なんだそりゃ?」と思ったものである。


この話は、聞いてから40年近く経った今でも、しきりに思い出す。
面白いだけでなく、やはり水準の高い作り方がされてたのだと思う。