釜ヶ崎夏祭り

14日、西成・三角公園釜ヶ崎夏祭りに行く。
夕方、コンサートが始まって五組が出演。8時から盆踊り。
地元のおじさん、おばさんたちのための、いいお祭りになっていたとおもう。
準備・出演されたみなさん、ご苦労様でした。というか、明日もあるのだが。


コンサートに出たミュージシャンの人は、特別有名な人は出なかったが、それぞれにこの地域やお祭りと深い関わりをもってきた人たちのようで、おっちゃん、おばちゃんたちとすごく馴染んでいるのがよかった。
こういう、こじんまりした、地元の人たちが親しめる感じのイベントも悪くないものだ。
なにしろ、この人たちのための祭りなんだから。
どの人も、自分の仕方で、気持ちを音楽にこめてここの人たちに届けようと心を尽くしているのがわかる。
とくに、最後に出た今里哲さんという、鶴橋出身のシャンソン歌手の人、美輪明宏っぽい感じの人だが、この人のステージは、舞台の袖に殺到して踊ったり歌手に話しかけまくったりするおじさん、おばさんたちと一体化して、ファンタスティックでさえあった。ふつうなら進行の邪魔になるところだけど、今里さんの捌きの巧みさもあり、上機嫌に酔っ払って舞台の下で踊ったり管を巻いている人たちが、まるで舞台装置の一部と化したかのようだった。
あれは、他の場所ではちょっと見れない光景かも。
愛情のなせる業だよなあ、きっと。


ただぼくは、そのなかで歌われた「ヨイトマケの歌」というのが、苦手なのだ。
とくに、最後で語り手である息子がエンジニアになっていて、「母ちゃん、見てくれ、この姿」と言う部分が、あれがないとカタルシスになりにくいというのは分かるんだけど、やっぱり辛い。つまり、そういうふうにならないと駄目なのか、ということ。
これは、美輪明宏に対する、ぼくの「苦手」感にも通じてる。
今里さんは、すごくよかったんだけど。


盆踊りの方だが、みんな楽しそうに踊っていて、ぼく自身も踊り狂った。
そのなかで、河内家菊水丸のテープで、本格的な河内音頭楠木正成とかの出てくるやつやけど、ものすごく難しい曲だとおもうのだが、若い人とかすごくリズム感よく躍動していて、ほんとに感心した。
踊りのなかで、片足をあげてケンケンみたいにするところがあり、中上健次の『枯木灘』か『地の果て至上の時』に出てくる根来衆ゆかりだという踊りを思い出した。
南朝から一向一揆、そして釜ヶ崎へ。
関西やなあ、という感じ。