テポドン雑感

テポドンの発射によって得をするのは、アメリカと軍事産業安倍晋三ハンナラ党だ。
逆に困るのは中国と小沢一郎盧武鉉、それに日本の財界かもしれない。
これは、そういう政治的なゲームの一種だと思う。
金正日政権が、なんの見返りもなしに、巨額の費用を使ってミサイルの発射実験をするということは考えにくい。それなら、それだけの「見返り」を用意できるのは誰か?


朝鮮半島では、南北の和解が成り立ちそうな「あと一歩」というところに来て、「北」の軍事的行動によってご破算になり、分断体制が維持されるということが繰り返されてきた。
現在は、同じ構造が日米や中国を巻き込んで国際化してるというだけではないか。


アメリカの本音は、六カ国協議を崩し、南北対立を固定化させて、朝鮮半島への支配を独占したいのだろう。もちろん、日朝の国交が回復されることにより、日本の経済的な支配がこの地域に復活することも阻止したい。なにより、資源をもつ中国やロシアと、日本が「半島」を介して直接に結びつくことは脅威だ。
また、対立する政治勢力(かつては経世会)の対中接近を牽制して、アメリカよりの外交を進めることで権力基盤を確保することは、70年代から変わらない清和会(現森派)のやり方だろう。
改憲教育基本法改正も、これでいっそうやりやすくなる。ミサイル防衛システムが高く売れて、軍事産業万々歳だ。


結局のところ、金正日政権は、アメリカにとっても、親米右派勢力にとっても、そして軍事産業にとっても、今のところ非常に都合のいい政権だ。そんなに簡単に潰すはずはない。
逆にこの政権にとっては、中国とアメリカの間で、いかに自分を高く売るかということが最大関心事のはずだ。その意味で、「瀬戸際」というよりも「綱渡り」をやってるわけだが、ちゃんと綱を持っていてくれる人があるから出来るのである。
綱の端を持っているのは、一見「敵」と見なされている人たちだと思う。


東アジアで軍事的・政治的な緊張が高まれば、こうしてそれぞれの「体制」が喜ぶという仕組みになっている。
もちろん、「和解」が成立したらしたで別の「体制」(中国と小沢とか日本の財界とか外務省とか)が喜ぶわけだが。
緊張や対立によっても、「平和」という名のもとでの収奪によっても、苦しむのは「体制」に翻弄される人間一人一人である。
一日中流されるテレビの報道で、多くの在日の人たち、とくに子どもはどれだけ心に傷を受けることになるだろう。
この土地で戦争が始まらなくても、すでに日常のなかで無数の被害者が生み出されている。そしてその戦争同様の日常が、次第にぼくたちにとって当たり前のものになっていく。