最近の朝鮮半島をめぐる情勢について

最近、ブッシュや盧武鉉が、朝鮮戦争を正式に終結させ(休戦状態を終わらせ)平和条約や平和協定を結ぶという方向の発言をするようになっているが、いろいろな政治的思惑があるにしても、基本的にまったくまっとうな考え方だと思う。


それはひとつには、朝鮮(北朝鮮)が核兵器を含む軍事増強路線を続けることの内外に対する最大の根拠(言い分)は、朝鮮戦争終結しておらず、アメリカや韓国、その同盟国(もちろん、日本も含む)から言わば包囲されている状態にあるから、というものだからである。朝鮮戦争が正式に終結するということになれば、この正当化の根拠は消え去る。これは、少なくとも今のような軍事優先の国家体制を、もはやあの国が維持できなくなることを意味する。
もちろんこのことは、日本の安全保障上も、ほんとうはきわめて望ましいことのはずだ。


朝鮮国内の人権問題、独裁体制の問題を言う意見は、もちろんたいへん強い。
だがこの問題、いわゆる「民主化」ということは、どんなに遠い道であっても、朝鮮の人たち自身に決めてもらうしかないことであろう、という気がする。「人道に反する」と言われるかもしれないが、現在の世界において「国家」というものが果たす一定の役割を否定できない以上、この選択はやむをえないと思うのである。
必要なのは、それ(「民主化」)が可能になるような条件の整備と監視を、「国際社会」の側が周到な交渉(朝鮮の政府との)によって実現していく、ということだろう*1
アメリカや韓国との「平和協定」の実現は、それを可能にする唯一の(だがはじめの)道ではないかと思う。


それから、「統一」ということに関して言うと、南北間の平和協定の締結が実現すれば、それがすでに「統一」といっていいと考える。
少なくとも、「人々の自由な往来」の糸口となるはずだからである。
かつて「連邦制」という構想もあったが、朝鮮半島に二つの国家が存在すること自体は、別に不自然なものでもなんでもないと考える。不自然なのは、国境などという便宜的な仕組みによって、人々の自由が妨げられる現実のあり方のほうだ。
朝鮮半島にこの不自然な現実を強いたのは、大国をはじめとするさまざまな諸力だった。
たとえば朝鮮の「民主化」が、こうした諸力の悪い効果を減らすことになるとは限らない。朝鮮半島の南と同様に、いやそれ以上の、IMF体制や新自由主義の暴威が、北の人々を襲うかもしれない。
だがそれでも、この「統一」は実現されるべきであると考える。


日本と朝鮮との関係については、あえてここに書かなかった。
実際問題として、日本に可能なことは、上記のような動きを邪魔しないことぐらいではないかと思えたからだ。

*1:それはもちろん、朝鮮の政府や当局だけでなく、CIAやKCIAをも監視するのだ。