『チマ・チョゴリ制服の民族誌』週刊文春の紹介文

『チマ・チョゴリ制服の民族誌』(韓東賢著)と言う本を、早く読みたいと思いながらまだ読めずにいるのだが、『双風亭日乗』さんに、酒井順子によるこの本の紹介文が週刊文春に載ったと書かれていたので、早速読んでみた。


文章は、チマ・チョゴリ制服に対する筆者の思いと、最近では安全面の配慮から通学時には別の制服が使用されるようになったため、この制服姿を街で見かけることがほとんどなくなったという現状が書かれたあと、本書の重要な要点として、「朝鮮人コミュニティー内におけるジェンダー格差の象徴」として語られることの多いこの制服が、実は民族意識の高まりにともなって女子生徒たちによって自発的に着用されるようになったものと書かれていることが紹介されている。

民族的自意識と、女性であるという自意識が交差した部分に、チマ・チョゴリ制服は存在していた。


この点を強調していることに、筆者の酒井自身の、また「文春」としての、「伝統」や服装における女性らしさといったことへのスタンスがよく示されているのではないかと思った。


そしてそのうえで、

チマ・チョゴリ制服には、女子学生の気持ちだけでなく、在日朝鮮人の歴史が詰まっている。そして、女子学生がこの制服を着て歩くことができない社会で今、私達は生きている。


と、もっとも大事な主張がきちんと書かれている。
この明確な主張とともに、筆者の著者に対する共感がさりげなく書かれた、とても優れた紹介の文章である。
なによりも、こうした文章と本の紹介が、週刊文春というメディアに書かれたという点に大きな価値があると思う。


それにしても、早く現物を読まないといけないな。


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