新政権が出来て

民主党の政権が出来て、色々政策や方針(多くは、「これをやめます」ということだが)が出てきてるが、明らかに良かったと思うのは、インド洋上での給油活動をやめることでアメリカの了解の言質をとったということ。


こういうのは、自民党政権の間は、「日米関係を損ねるから」というような曖昧な理由から、日本側から提起されることもなかった。本気でそう思ってた人も、積極的に自衛隊を海外展開したいための口実として、そう言ってた人もあるだろう。それが世間的には、「提起してもアメリカの了解は得られない、機嫌を損ねる」という「迷信」みたいなものになってたのである。
政権が変わったことにより、それが迷信に過ぎなかったということが分かった。その結果として、「自立外交」という方に行くのか、「普通の国」(小沢)という方に行くのか、「平和外交」という方に行くのか、まだ分からないが、ともかく迷信が除かれたことは良かった。
こんなことが、政権交代の、ひとつのメリットだろう。


しかし、それ以外のことでは、まだ良いとも悪いとも言いかねることばかりだ。
後期高齢者制度など、評判の悪い制度をやめます、と言ってはいる。だが、やめて代わりにどうするのか、はっきりしたことは言われていない。
介護保険などもそうだが、評判の悪い制度は多く、たしかに使い勝手もよくなかったり、ひどいものだったりもするが、それでも現行の福祉や医療の制度の枠組みのなかでは財源などの限界に陥っているのは事実で、その現実に対処するための苦心の策として作られた制度ではある。
それを「やめます」というのなら、この枠組み自体を根本的に見直すことを提言して、それをみんなに説明したり説得したりということをやるなり*1、そうでなければ具体的に財源を(取り繕うようなものではなく)示さないといけない。
そういうことは、ほとんどやってないと思うのだが、マニフェストで約束したことだから、評判の悪い政策でそれを批判して国民に支持されて政権をとったのだから、というだけの理由で、闇雲に廃止を打ち出している感のものが多い。
自立支援法など、明らかに実害が出ているものは、とりあえずやめるということは分かるけれども、全体としては、やめてどうするのかということをちゃんと考えて打ち出すことを同時にやらないと、財政難といわれている現実はそのままなんだから、いずれもとの所に戻るのは目に見えている。
よくない意味で地に足がついてない、という印象である。
あれだけの大量得票をしたことが、かえって(公約どおりにしなければという)プレッシャーになっているのであろうか?


ともかく、焦りや浮き立ちのあまり、ひどい実害が残らないように政策を進めてもらいたいものだ。
とくに、亀井大臣が打ち出している金融のモラトリアム法案というのは、まったく不安だ。
これで貸し渋りがひどくなったり、経営基盤の弱い中小の金融機関がばたばた潰れたりしたら、中小企業の経営は余計に窮地に陥るのではないだろうか。

*1:民主党が、そこまで根本的な改革を考えてるとは、とても思えないけれど。