いま、麻生首相の解散の記者会見(スピーチ)を聞いた。
言葉に力がないことは、見た人は誰でも感じただろうが、内容について、やはり一番大事なことに言及してないと思った。
このスピーチで麻生首相が述べたことは、民主党より自民党の方が政権能力があるとか、自分の政権には失政はなく危機にあたってよく処してきただとか、自民党内に混乱が生じたことは自分の力不足で申し訳ないとか、そういったことだけである。
そういうことは、二の次だと思う。
自民党より民主党の方がマシな政治をするかどうかは分からない。また麻生政権が近年の他の政権に比べて良かったか悪かったかも、よく分からない。そもそもそんな判断が出来るようなことをしただろうか？
いずれにせよ、そういうことが核心ではないのだ。
このスピーチで言及されるべきことは何だったかというと、それは、自民党が前回の総選挙からここまで、有権者の信を問うことなく政権をたらい回ししてきたことへの、現時点での自民党・政権のトップとしての責任である。
これは「麻生政権」固有の責任ということではないが、ここで本当に語られるべきこと、自ら問うべきことは、そちらの方なのだ。
もし会見で麻生が、あえてそれに触れて謝罪したなら、たとえ選挙で自民党が大敗しても、ぼくは麻生という政治家に一目置いただろう。
だがやはり、そういうことは起きなかったのである。
