『光州の五月』(未読)

以前に友人から、縁のある本なのでブログで紹介してくれと言われてたのだが、忘れてそのままになっていた。ぼくもまだ未読なのだが、ぜひ読んでみたいと思っている。

光州の五月

光州の五月


出版社のホームページは以下。訳者による紹介文も読める。
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/book/book728.htm

1980年5月に起きた現代韓国の惨劇、光州民主化抗争(光州事件)。凄惨な現場を身を以て体験し、抗争後、数百名に上る証言の収集・整理作業に従事した韓国の大作家が、事件の意味を渾身の力で描いた長編小説。


これだけではなんなので、思い出話をひとつ。
何度か書いたことがあるが、光州事件が起きて20周年だった2000年の五月、縁があってぼくは光州を訪れた。
大規模な記念行事や、コンサート、当時を再現する松明の行進、またシンポジウムなどを体験して、数日後に帰国したのだが、家への帰路市内からタクシーに乗った。
このタクシーの運転手さんは沖縄の出身ということだったが、ぼくが海外からの帰りだと分かると、どこに行ってこられたのですか、と聞いてきた。「韓国の光州というところです」と答えたところ、即座に「ああ、光州事件の」という言葉が返ってきた。
それだけのことなのだが、今でもこのやりとりを非常によく覚えている。
80年当時、光州事件をたんに「海の向こうのニュース」ではなく、身に迫る生々しい出来事として感じていた人は確実にいたのだし、その記憶は何らかの温度や感覚をともなって、その人たちの中に今もはっきりと残っているのだろうと思う。