心配のいらない関係

先にアメリカが発表した「テロ支援国家指定解除」の件について、マスコミでは記者や識者・政治家が、「日米同盟の先行きにも悪影響を与えかねない」というコメントをしているのが紹介されているが、もしその通りになるのなら、まことに喜ばしいことだと思う。
これ以上、アメリカがイラクなどで行っている人殺しに協力しなくてすむからだ。
だが、残念ながら、そうはなるまい。


その理由は、第一に、「日米同盟」なるものを見直すとか、解消するといっても、今の日本の政府には、アメリカとの従属的な関係を継続する以外の選択肢は、実際にはないからである。他に組めそうなパートナーなどいないからだ。
つまり、「日米同盟の先行きにも悪影響を与えかねない」という台詞は、アメリカに対する脅し文句としてもまったく無効である。


そして、(心配されているように)北朝鮮による「核の廃棄」が、結局は不十分なもので終わった場合、「日米同盟」に対する、つまりはアメリカに対する日本の依存は、弱まるどころか強まる。
「北の核」の脅威を防ぐには、アメリカの軍事力が、どうしても必要だからだ。
むしろ、それがアメリカの本当の狙いかもしれない。


結論として、米朝関係の推移が「日米同盟」に悪影響を及ぼすなどということは、まったく出鱈目である。
まあ、そうでも言わないと世論の支持が得られないので、政治家などはそういう嘘を言うのだろう。
アメリカへの従属的な関係を断ち切らなければ、今回のように、「いつでも切り捨てられる駒」としてアメリカに利用される状態から抜け出すことは出来ないのだが、それをやろうと思うなら、日本はアジアとの関係を自力で再構築すること、その不可避の前提として、自分の国の成り立ちを根本的に組み換える以外にないはずだ。それを避けている限り、「従属」か「孤立による破滅」か、という二者択一のなかにあって、結局は「現実的な道」(従属の強化)を選び続ける以外ない。


そういう認識に立った上で、「日米同盟」と通称される日米間の関係性は、根本的に解消され、別のものに書き換えられるべきだと思う。
「日米同盟」など、百害あって一利なし、である。


いや、百害あって一利なし、しかも利権付きだ!