橋下知事の、またこんな発言

同和問題をめぐる共産党議員とのやりとりで、橋下大阪府知事が、またこんなことを言ったらしい。


共産に苦言「主張通すなら多数派になってから」http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080311/lcl0803110051000-n1.htm


 −−大阪の高校、大学の同和奨学金は申請すれば全員が返還免除を受けられるという特別扱いが続いている。直ちに廃止すべきでは(共産党、堀田文一府議


 「議会議決を経た返還免除規定に基づき適切に処理している。議決の意思を受けて行政が執行しており、特別扱いではない」


 −−議決があっても問題があるものは見直すのが橋下知事の仕事では(同)


 「議会制民主主義では議会議決に行政は拘束される。議決の無視は行政の横暴。共産党が主張を通そうとするのなら、多数派になってから意見してほしい」


見出しになっている発言そのものはとても容認できるものではない。
あい変らず議会政治というものをたんなる「数のゲーム」としか考えられない人(知事)だなあ、と思うばかりだ。
問い詰められて自分が答えられなくなると、とくに好意を持っていない相手にはすぐ「キレて」しまう幼稚なところも、NHK出演時のトラブルなどと同様で、権力を持つ(当人は、「独裁者」だとたとえたこともあるそうだ)知事の性格としては、是非治してもらいたいところだ。


だが、今回もこうした感情的な対応をすることになったやりとりが、同和対策をめぐるものであったことには、注目する。
先日の「差別は解消されていない」という発言といい、差別(ここでは特に部落差別)の現状についての、橋下氏の個人的な感覚や思いが、そこに込められていると推測しうるからだ。
それが「皮膚感覚」レベルの、どんなに幼稚なものであっても、「差別など、もはや存在しない」ということを前提にした同和対策攻撃を繰り返す共産党のやり方よりは、はるかに人間らしいと思う。


同和対策の現状に、無駄や不正があるのかどうか、実情は分からない。
また、橋下氏が「差別は解消されていない」という意味が、どういう内実を持ってるのかということも、たいへん心もとない。
しかし、ともかくこの社会に解消するべき差別が今も存在していることは事実であり、そのための政策が不要になっただのという意見が世迷言であるという点だけは、ぼくはまったく正しい認識であると思う。
その正しい認識を持っている、橋下氏やぼくたち自身の「小さな点」を、見失わないようにしたいと思う。