合理主義者と経験主義者

ジル・ドゥルーズ著『スピノザと表現の問題』から抜書き。

経験主義者と合理主義者の間のインスピレーションの差異を認めることは常に人の心に強い印象を与える。前者は後者を揺るがしていないものに揺るがされている。合理主義者に耳を傾ければ、真理と自由は何よりも権利である。どうしてこの権利を失うのか、誤りに陥るのか、それとも自由を失うのかと彼らは問う。それゆえ合理主義は自由で理性的なアダムのイメージを原則として提示するアダムの伝承のうちに、特に彼らの偏見と一致するテーマを見出した。経験主義者の視野においてはすべてが覆される。驚いたことに、人間はあるときは真なるものを理解することができ、またあるときは相互に理解することができ、あるときは彼らを束縛するものから自らを解放することができるということである。絶えずアダムの伝承に対立するスピノザの強さにはすでに経験主義者のインスピレーションが認められる。つまり、自由と真理を最後に現われる究極の産物として認識するインスピレーションである。(p150)


スピノザと表現の問題 (叢書・ウニベルシタス)

スピノザと表現の問題 (叢書・ウニベルシタス)