「混合診療」再考

tu-taさんから、二件の記事について、トラックバックをいただいた。
ありがとうございます。
ここではとりあえず、きのう書いた「混合診療」をめぐる記事について、考え直してみます。


tu-taさんの記事から。

国が間違っているのは、混合診療を認めないことではなくて、患者が望む治療法で、かつ医師も認めた治療法に保険適用しないことだとぼくは思う。必要な治療法なら保険適用すればいいのだ。


混合診療を認めはじめると、ちょっと高額な医療はすべて保険外でとなってしまいそうで怖い。


そうなんですよねえ。
このことについては、きのうの夜mojimojiさんも詳細な解説記事を書かれていて、ぼくもそれを読んで、何が問題かが少し分かってきました。



混合診療を認めないことが誤りなのではなくて、保険適用されるべき治療法に保険適用がされていない、されにくい現状であるということが間違ってるのだ、ということ。
mojimojiさんは、それに関して医療行政と製薬業界などとの癒着ということにも触れていました。


ぼくも、きのう記事を書きながら、「混合診療」ということについて、引っ掛かりのあることをいくつか感じました。
その第一は、たしかに高額な「自由診療」にあたる療法が、なぜそもそも保険適用されてないのかということ。もしそれが、ほんとうに認められるべき(認可されるべき)ものであるなら、それも保険適用することが、一番早いし、妥当な解決策だろう、という気はしました。
tu-taさんやモジモジさんの記事を読んで考え直してみると、やはり保険適用されるべきものが、さまざまな思惑によって適用されない現実があるということ、またそうでなくとも適用のための手続きが患者たちの要望を裏切って緩慢にしかなされないという行政の欠陥があるということ、これらが問題の核心であると思います。


そして、すごく重要なことは、「混合診療」を認めてしまうことによって、何が生じるか、ということですね。
つまり有効であるのに保険が適用されず、お金を持っている人にしかアクセスできない高額な治療法が存在し続けることになる。また、高額な治療法は、保険財政を圧迫するという理由から、いつまでも保険を適用されず(もしくは適用から外されてしまい)、金持ちでない人たちには余計にアクセスできなくなる。
そんな事態になるということでしょう。


患者(ことに重病の人たち)が受けたいと希望するような治療法を満足に受けられないという現状を変えるための方法として、「混合診療を認める」(厚労省に方針を変えさせる)という手段をとることは、医療市場の自由化を進めて「医療格差」を拡大する結果を招いてしまう。
お二人の意見を読んで、その危険性を認識できたと思います。


追記:ただ、ここで気になるのは、どう考えても保険の適用が認められそうにない民間療法的なものとの併用を、どう考えるかということですね。それはそもそも「治療法」とも見なされないから、問題にはならないのかな?