朝原と前田

スポーツをめぐる雑感。


土曜の夜の世界陸上の中継。
日本の男子チームが出たリレーの決勝で、ゴール前で接戦となった末、5位でゴールインした直後の朝原選手の顔がアップになったけど、なんとも言い様のない印象深い表情をしていて見入ってしまった。
本人の顔立ちももちろんあるだろうが、それだけではない。
あれが3位で銅メダルをとれていたら、(少なくとも)こちらの印象は違っただろう。
非常な接戦の末に敗れて、目標が果たせなかった人の表情は、見る側に特別に強い印象を残すのかもしれない。近鉄がロッテとのダブルヘッダーで優勝を逃した、あの有名な川崎球場のゲームで、次々と映し出される近鉄の選手たちの表情にも、そういう何かがあったのだと思う。
スポーツの中継を見ていて、一番心に残るのは、そういうものかもしれない。


ゴール前で非常な接戦となり、けれども際どく敗れて、というのは競馬では数え切れないほど(じっさい、数え切れない)見ているのだが、馬の場合は「表情」の変化がなかなか分からないので、そういう「顔」にまつわる印象というものはない。
だがそれで、レースそのものから感じられるものが、人間の場合より希薄かというと、そんなことは決してない。
やはり、生きものだからか。


話は変わるが、同じ日、広島の前田が2000本安打を達成した。
話によると、市民球場は満員の観客で埋まり、「日本シリーズみたいな」雰囲気だったそうだ。
それを聞いて「カープのファンはありがたいな」と、(選手でもないのに)思った。
前田選手、おめでとう。