近況

最近は、介護関係の人とか、いろいろ家に出入りするようになり、ぼくが母の世話をしているので、よく(母に向って)「優しい息子さんでいいですね」とか言われるけど、じっさいは「優しい」かどうかということとはあまり関係なく、せざるをえないから世話をしているのである。
そして、実際は世話をしていても、気持ちが「切れて」、放り出すなんてことは日常茶飯事だ。それでも少しすると気を取り直してまた世話をしたりする。たまたま(これはまったく、そうとしか言いようがない)、それが断続的に続いているだけである。たぶん、多くの家庭でも、似たようなことではないかと思う。


こないだ、家では十数年ぶりに、母の居る部屋だけクーラーを付けることになり、近くの家電量販店に頼んだら、初老のおじさんが工事にやってきた。この人は、客をまったく不安にさせず、黙々と一人でやり通す仕事ぶりが「本物のプロだ」と思って感心したのだが、ぼくと同じように年老いた寝たきりのお母さんを抱えているということだった。
やはり、いつも母親に腹を立ててばかりいて、この日も「もう4日ほど口を利いてない」と言ってたけど、じつによく分かる。


「せざるをえないから」というのも、そうとしかいえないところがある。そして、少し先を考えれば、身体的とか精神的ということだけでなく、経済的にも立ち行かないのは分かっているのだが、ほんとうに今は「そうせざるをえない」からそうしているということであり、とりあえず「母に少しでも元気を回復してもらう」という大まかなことを、現実的な目標にするしか、日々乗り切っていく方法がないようなわけである。