石狩の語源など

関西も台風が接近して大荒れになってきた。


きのう書店に行ったら、池内紀の「川」をテーマにしたエッセイを集めた本が並んでるのが目についた。文庫だったか、新書だったかは、忘れた。また、題名もちょっと思い出せない。
パラパラと立ち読みしてみたが、なるほどまちがいなくたくさんの人が読みそうな本である。
池内のカフカの訳文には、好きな人とそうでもない人があるようだが、内田樹と並んで、いちばんよく売れる(読まれる)文章を書ける人ではないか、と思う。


そう思いながら、ぼくは買わなかったが、はじめの方には北海道の川のことがいくつか書かれていて、そのなかに石狩川のことも出てきた。ぼくが迂闊だと思ったのは、「石狩」という言葉の語源がアイヌ語であるとは思わなかった、ということ。池内によると、「イ・シカリ・ベツ」(流れの激しい川、みたいな意味だそうだ)という語から来ているのだという。
北海道には、アイヌの言葉から来た地名がずいぶん多いが、「石狩」もそうだとは思わなかった。これは自分としては、「迂闊」だった、と感じる。


それから別の話だが、探していた堀江敏幸『いつか王子駅で』(新潮文庫)、あっさり見つかった。
ぼくがむかし近隣に住んでた都電荒川線のことや、往年の競走馬の話が多く出てきて面白そう。
高橋源一郎は別として、保坂和志にしても堀江にしても、初期の作品に競馬を素材としてとりあげてるのは感心なことだが、これはひょっとして選考委員の古井由吉を意識してるんじゃないのか??