近況など

金曜日は、大阪市内の「シアトリカル應典院」というところで、『大阪環状線』という芝居を見てきた。「タルオルム」というほとんどが在日の人たちによる劇団の公演で、とても水準の高い、いい舞台だと思った。
http://www.office-wink.com/tal-orum/event.html


たまたま環状線に乗り合わせた朝鮮学校の女子生徒と韓国人の女性が、タイムスリップして終戦直後の、「阪神教育闘争」の現場に行ってしまうという内容なのだが、前半の電車のなかの場面の雰囲気は、韓国でヒットした「地下鉄二号線」というミュージカルを思わせるような軽快なものだった。
全体の三分の一ほどが朝鮮語(韓国語)の台詞だったが、少し早口で喋られると分からない。方言まじりの部分は仕方ないとしても、やはりリエゾンが聞き取れなくなるのだ。舞台の袖に日本語の字幕が出るのだが、そちらをちらちら見ていると、舞台の流れのようなものが分からなくなる。むずかしいところだ。
でもまあ、思ったよりは聞き取れた。


それから、先週の土曜日と日曜日の夜は、京都の出町柳駅の近くの、通称「三角州」と呼ばれている(このネーミングは変だと思うんだけど)水辺の場所で、先日の遺骨発掘のワークショップに参加した人たちや、関心をもっている人たちが集まって、感想などを言い合う集まりをもった。土曜日は20人以上が集まり、日曜も7人ぐらいいて、それぞれ夕方から明け方近くまで熱心に飲みながら話をしていた。
これは、ぼくはずいぶん疲れた。


薄い雲の間に月が出ていて、その明かりだけで話をする。
目取真俊というひとの「内海」という小説のなかに、沖縄の島の人たちが浜辺に出て三線を引き、歌い踊り、祖先の霊と一緒に宴を催す、「清明祭」ということを行っているときに不思議なことの起きた話が書かれているが、何かそういうことを思い出した。
そういえば、この京都の岸辺でも、夕方三線を弾いている人たちがいた。


それで思い出したけど、9月17日に、大阪大正区の千島公園グラウンドというところで、「エイサー祭り」という、沖縄出身の人たちのお祭りがある。
この祭りはすごい。
ぼくは、二年前に行って、沖縄から運んできた巨大な綱の綱引きに参加させてもらったことがあるが、あまりの激しさに死にそうになった。
そして、夜が更けてくると、見物していた人たち(たぶん、ほとんどが沖縄にゆかりのある人たちだと思うが)が全員グラウンドになだれ込んで、延々と踊りくるう。あんな光景は他では見たことがない。
今年もああなるのかなあ。


魂込め(まぶいぐみ) (朝日文庫)

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