ファンタジーステークス回顧

ファンタジーステークスアルーリングボイスは、本当に強かった。これまでとまったく違うレース振りを見せた馬自身にもだが、武豊の大胆な騎乗に何より驚かされた。


スタート直後から先行争いに早々に見切りをつけ、向こう正面から外に持ち出すことだけに専念して馬を控えさせ、直線に入る手前でさらに後ろに下げて最後方から思い切って大外に持ち出し、直線だけの競馬で豪快に差しきった。
あれは、他の馬との間に絶対的な能力差があると考えていなければ、とてもとれない戦法だろう。あそこまで徹底した乗り方を目にする機会は、滅多にない。
レース後のコメントを読むと、「一戦、一戦能力を試してる」みたいなことを言っていたが、普通は本番であれだけできるものではないだろう。
もちろん、もともと卓越した騎手なんだけど、秋華賞菊花賞といい、この秋の武の騎乗ぶりには一段レベルの違った凄みを感じる。


セントルイスガールは、まあ6着なら、そう悪くはないか。3百キロ台の小柄な馬だけに、直線に坂のあるコースになると善戦は難しくなるかもしれないが。
ともかく、勝った馬が強すぎた。