「世界」のなかのウイグル自治区問題

社説:新疆自治区暴動 民族政策に寛容さ欠く

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090708k0000m070122000c.html

世界が中国の成長力に注目している。中国の成長維持は、社会の安定を維持できるかどうかにかかっている。社会の安定をはかる真の力は武力ではない。寛容な政治である。


中国当局がやってることは、まったくひどいと思うけど、こういう言い方は、やはり違うだろう。


「世界」が期待するような高い経済成長を追い求めたことが、今みたいな中国の社会のひずみや人権抑圧的な状況につながってるのだ。かつては、中国以外の資本主義の国々が経済成長を追い求めて中国を圧迫し(そのひずみが、やはり中国政府によって弱者に向けられた)、「改革」以後は中国自身がその「世界」のなかに自分を組み込んで経済成長を追い求めるようになった。


貧しい人や権力をもたない人、少数民族のような人たちが、「世界」によって追い込まれる力学は、「冷戦」期と、「冷戦以後」で本質的に変わったわけではない。
天安門事件を経て継承されたものは、ひずみを周辺の地域や民族に押し付けるような悪い慣習であり、継承されなかった(切り捨てられた)ものは、それでも「平等」や「解放」のような理念を何とか模索しようという姿勢だったのではないか。