オバマと核実験

今回の朝鮮の核実験について、「オバマ大統領が核廃絶を訴えた直後なのに」という論調をさかんに聞くが、たいへん違和感がある。


オバマの発言に平和への本気の気持ちがない、と断言はしない。
また、アメリカの軍事的な存在の大きさと圧力を、朝鮮が核を持つことを正当化する理由と考えてはならない、ということも昨日書いたとおりである。


けれども、現実にもっとも大量の核兵器保有している国はどこか、歴史上核兵器を戦争で使用した唯一の国はどこか、また最近もっとも大規模な他国への侵略行動を行い、今も軍隊を駐留させているのはどの国かということ、そしてその国が朝鮮に対してこれまでどういう態度で対してきたか、これらのことをよく考える必要がある。
こうしたことは、朝鮮の核兵器保有を正当化する理由にはならないけれども、逆に今回の核実験が、(オバマの一回の提案と同様)超大国アメリカの過去と現在の暴力を免責し、アメリカを「正義と平和の旗頭」のように見なすことを許す口実にもなるはずがないのである。


以上のようなことを考えればなおさら、千個の核兵器を持ちながら「これから核をなくしていきましょう」と言っている国(と、その同盟国)と、その国の力の論理を見習うように一個から二個ないし数個に核兵器の数を増やしていこうとしている国と、どちらを「反平和勢力」と呼ぶかは判断しがたいのである。