非正規公務員問題

土曜日の昼間のテレ東の番組(田勢さんという人と大江アナの出てる奴)でやってたけど、今ハローワークなどに派遣切りとかで仕事を失った人たちが詰め掛けて大変だというのを、よくニュースでやってるが、その相談に当たっている職員の約7割が非正規公務員なのだそうだ。


年金問題でも、派遣された非正規の職員に入力作業をやらせてたことが問題になってたけど、あの後始末で問い合わせや苦情の対応に当たったのも、多くが非正規公務員
この人たちは、もちろん給料も非常に低い上、雇用も恐ろしく不安定で、番組で紹介されてたのは、ある地域の社会保険事務所の正式な辞令の文書らしいのだが、「日給7100円、期日は一日とする」とあり、つまり一日限りの日雇いの辞令である。


ハローワークの相談に当たっている大半が、自分自身がそういった境遇の非正規の人だというのも、なんとも変な感じがするが、年金問題だと、自分より明らかにお金を持ってそうな人たち(といっても、将来はまったく不安ばかりであろうが)の怒りや苦情に日々対応してる人の大半が、将来年金をもらえるかどうか(というか、目先の生活さえ)も分からない貧しい人たち、という構図になってるのである。
なぜこうなるかというと、役所としてはやはり財源難から、正規職員から非正規に切り替えていかざるをえないということらしい。しかし、要求される仕事の質(市民のニーズでもある)が変るわけではないので、(相談業務を含め)技能の要るキツイ仕事を、多くの人は非正規の雇用条件で行わざるをえないことになってる。


ひとつには、役所でするべき仕事の総量に、職員の数が追いついていないのであろう。
これを変えるためには、財源を見直してどこかから持ってくるか、役所でやる仕事の総量を減らしていくしかない。後者は、合理化とかスリム化と呼ばれるのだろう。たしかに、公共でやるべき仕事は厳然と在る、ということは言えるにしても、不必要なところに人手や予算が回る構造になっていて、もっと単純にして整理すれば、回るべきところに金や人手が回る、ということはあるかも知れない。
ともかく、人件費がなるべくかからないような仕組みに、行政の制度を変えていくという流れは、止めようとしても止めることが出来ないだろうなと、番組を見ていて思った。この理由から、日本の行政のあり方は、大幅に変っていくだろう。


実際、日本の行政というのは、事実上、もう民営化ないし非正規化が相当進行していて、一部の官僚を除けば、よくバッシングの対象になるような「正規の公務員」という人たちは、ほとんど居なくなりつつあるのかも知れない。
行政の現場に居るのは、大半が非正規公務員か、民間の派遣会社から来ている非正規職員か、であろう。早晩、そうなる。
そして、何が必要か(不必要か)もよく整理されないまま、仕事の量も質も昔より少なく(低く)て済む、というわけではないので、不安定な低賃金で過酷な労働をさせられて使い捨て、という人だけが増えていくわけだ。


あと、これは番組で出てた話じゃないけど、ぼくの経験から言っても、同じ非正規雇用の労働者といっても、役所に直接雇われてる人と、民間から来ている人とでは、やはり条件や考え方に違うところがある場合があると思う。
正直、「公務員なのに、(非正規だからといって)なぜこんなに不安定なのか」という問い方をすると、民間から来てる人は、腹が立つであろう。
そういう面で、この両者の連帯は、なかなか難しいかもしれない。


まあ、ざっとそういう現状になっている、ということ。
ともかく、公務員か民間か、正規か非正規か、労働者かそうでないか、ということではなく、お金が無かったり不安定な状態で過酷な労働を強いられたりして生きていくのもままならなくなる人たちが量産される社会のあり方は、基本的にダメである、ということは言える。