『成城トランスカレッジ!』さん経由。
この八代さんという人は、『ワーキング・プア2』に出てた人かなあ。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/seisaku/news/20061219k0000m020089000c.html
経済財政諮問会議の民間メンバーの八代尚宏・国際基督教大教授は18日、内閣府の労働市場改革などに関するシンポジウムで、正社員と非正規社員の格差是正のため正社員の待遇を非正規社員の水準に合わせる方向での検討も必要との認識を示した。
昔、犯罪加害者への厳罰化が言われだしたときに、捜査や裁判などで被害者の人権が考慮されないことを引き合いに出して「だから、加害者の人権だけが考慮されるのはおかしい」という厳罰派の物言いについて、本来はどちらも考慮されるべきものを、ちゃんと守られてる側の権利を引き下げて守られてない側に合わせようとする暴挙だ、と批判した人がいたけど、なんかそれを思い出した。
格差是正のために、相対的に守られてる側の待遇を引き下げるとは。
「働く者はみんな平等に貧しく」ということか?
「同一労働・同一賃金」を目標にするんじゃなくて、生活しにくい人の数を少なくすることを考えるべきだと思うが、これだと全員がより生活が苦しくなる方向で格差が是正されることになりそうだ。
こういう提言が出てくる理屈はなんとなく分かる。つまり、正規雇用労働者の既得権益を守ってたのでは、みんながハッピーにはなれないと言いたいのだろうが、「ほんとにそう思ってるのか?」と言いたくなる。正規雇用以外の労働者の権利や生活のことを、ほんとになんとかしようと考えてるの?
「大企業の労働者が、弱者をダシにしてる」と言ってるけど、そう言ってるこの人自身が「弱者」をダシにして、かろうじて正規雇用においてだけ守られてる労働者の権利や生活を根こそぎにしようとしてるように、ぼくには見える。
こういう「改革」が実現すると、効果としては、非正規雇用の側が待遇改善を要求するための重要な根拠が失われることになるだけだと思う。
大企業の社員や労働組合とかの権益が守られすぎてて、それを手放さないために非正規雇用の待遇が悪くさせられてるというケースは、たしかにあると思うけど、それならそういう弱い立場に非正規雇用が陥らないように保護策を強化するというのがまず本筋だろう。
こういう発言を聞く限りでは、どうも本気でそういう方向のことが考えられてるようには思えない。
正規雇用と非正規雇用との待遇の格差がほんとうの問題なのではなくて、働いてる人間全員、ひいては社会で生活してる人間全体の置かれてる条件がどんどん悪くなってるということこそが問題なのだ。
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