誠意のまったく見られない交渉

たまたま不況になったから、こんな目立つ事態になってるけど、「非正規雇用」といっても、もともとの人の使い方が安易でひどすぎるんだよなあ。


いすゞ期間従業員ら労組 団交

http://www3.nhk.or.jp/news/t10013014331000.html

いすゞ自動車が、国内の工場で働く非正規雇用の従業員全員の契約を年内で打ち切ると決めたことを受けて、栃木県大平町にある工場の期間従業員らが結成した労働組合が雇用の継続を求めて、15日、初めて会社側と団体交渉を行いました。


栃木県大平町で15日に行われた初めての団体交渉には、今月3日に、いすゞ自動車栃木工場に勤務する期間従業員派遣社員が結成した労働組合の代表と、会社側の代表とが出席しました。交渉は非公開で行われ、組合側の説明によりますと、組合側が契約打ち切りの撤回など要求への回答を求めたのに対し、会社側は「きょうは次回の日程の調整にとどめたい」として、回答はしなかったということです。また、解雇の期限が今月26日に迫っていることから、交渉の結果が出るまで解雇を取りやめてほしいと組合側が求めましたが、会社側は「回答を持ち合わせていない」と述べて進展はみられず、あらためて今月19日に交渉を行うことになったということです。交渉後、労働組合の松本浩利委員長は、記者会見の中で、「話すら聞いてもらえず、たいへん残念。次回の交渉では、解雇の撤回に向けてできるだけ要求を伝えていきたい」と話しました。一方、いすゞ自動車の本社は「きょうは今後の交渉の進め方についてお話させていただいた。それ以外の内容については話すことができない」とコメントしています。

本格的な交渉を先延ばしにして、事態が「自然消滅」するのを待ってるような感じだよなあ。


それと、なんか夜のニュースの動画では、逃げるように立ち去っていく「会社側」らしき人が映ってたけど、交渉の現場にどんな立場の人を送ってるんだろうな。
普通のときじゃなくて、こりゃ自分のとこで働いてたたくさんの人の生死にも関わりかねない事でしょう。「企業の社会的責任」を本気で考えてるなら、これだけ大きな社会問題になってるんだから、ちゃんと責任をもって交渉のできる、社長とかトップの人が出てこなきゃダメだよ。
「非公開」にしたのも理由が分からんけど、事務的な対応しかできない末端みたいな人しか交渉の現場に出さないというのは、会社が非正規雇用の人たちの生活や命に対してどういう見方をしてるか、よくあらわしてる。


かつて、国際的な競争力をつけるためだといって、戦略的に非正規労働力を多用するという経営判断をしたのは、企業自身の責任だろう。
まさか、「そうしなければ、会社が潰れてた」といって、自分たちの主体的な判断・戦略を、不可抗力を理由に免責してもらうつもりじゃないだろう。戦前の日本のアジア侵略じゃあるまいし。
いま、こういう形でそのひとつの結果が出て、社会全体の問題になってるんだから、せめて企業のトップは、自分が現場に出てきて、自分たちの判断、行動の責任をとれよ。
企業のあり方や戦略をどう変えていくのかとか、そういう話は、まずそれからだよ。