ディープと春樹

大きなニュースが続いて、あまり話題にもならなかったが、ディープインパクトが年内で引退するという発表にも、ちょっとびっくりした。
騎手も調教師も、来年の凱旋門賞再挑戦に意欲を燃やしてたと思うんだけど、どういう事情があったんだろう?


種牡馬としての市場での価値は51億円だそうである。そういうこともあって、早目の引退ということになったのか。競走馬は、所有してる人の意思にすべてが委ねられるものだろうけど、それに詳しい事情も分からないとはいえ、ファンとして残念だし、関係者も気の毒な感じがする。
「馬は無事に走り続けることが第一」とよく言うけど、競走馬はやっぱり走ることが一番(これはほんとに、人間の勝手な理屈なんだけど)で、生産に関する経済上の価値や事情が、それより上位に来てしまうというのは、どうもおかしい気がする。
経済ということに関連していうと、ぼくは日本の馬が海外の大きなレースにやたらと出ていくことには、あまり賛成でない。また、外国の一流馬が日本のG1にやたらとやってくるのも、「程ほどにしてくれ」という気持ちがある。
もっと地元のファンを大事にして欲しいというか、競馬というのは、その土地、その場の、それぞれのコンテクストを背負って成立するジャンルだと思うからだ。
グローバル・スタンダードみたいな、一元的な空間のなかに競馬を閉じ込めてほしくない。無数の多数的な競馬があるべきなのだ、ほんとうは。
まあそれはともかく、ディープが引退してしまうのは、どうにも寂しい。
「ひょっとして天皇賞も使うかも」と報じられてたので、「そんなに無理しないでも」と思ってたのだが。


それから、村上春樹ノーベル賞の候補にあがってたらしくて、これもすごく意外だった。
ちなみに、とったのはこの人らしい。
村上春樹は一時は傾倒した好きな作家だし、すごく力量のある人だと思うけど、ぼくの抱いている「ノーベル文学賞」のイメージとは、あまりにも違いすぎる。
この自分のなかのイメージも、別に根拠のあるものだとは思わないけど。
もし彼が受賞してたら、ぼくはちょっとがっかりしただろう。本人もほっとしてるんじゃないだろうか。
そもそもこの作家は、あまり「賞」が似合わない人だ。