テントと居住権

去る1月27日に大阪地裁が、公園で暮らしている野宿者の人のテントを住所として認めるという判決を下しましたが、先日あるところで、この野宿者の方ご本人のお話を聞く機会がありました。


印象的だったのは、「この判決は、テントが住所として認められたというだけで、別に居住権が認められたわけではないのだ」と言っておられたことです。だから、先日の行政代執行のときのような判断を行政が下せば、強制的に排除が行われることになるわけで、それをとめるための歯止めにはあの判決はならないだろう、ということでした(それでも住所と認定されることには、どんな意味があるかは、こちらのサイトに書かれています。)。
実際、大阪市の関市長は、市内のほかの公園でも今後同様の処置をとっていくと明言してるんだそうです。
この野宿者の方は、「テントだけでなく、一般の家屋であっても、居住権というものは認められてないわけだから、今後国や行政の方針しだいで家を壊されて追い出されていく一般の人たちも出てくるんじゃないか」と言っておられました。
ぼくは、法律に詳しくないので、そのときは意味がよく分からなかったんだけど、この記事などを見ると、日本の法律では居住権というのは明確に保障されてないみたいですね。



上の記事を読んでも分かるけど、あの野宿の人がおっしゃってたことは、なんかリアルな気がします。経済目的だけじゃなくて、「有事法制」的なこととかで、いつでも家が壊されて追い出されるという、そういう法の体制にすでになってるんですね。
そういう意味でも、ほんとに他人事じゃないんだよなあ。


これはぼくの考えですが、あの裁判所の判決というのは、住所がない、つまり住民基本台帳に登録されてないような人がいるのは、国や自治体としても困る、という判断のあらわれではないかと思います。
野宿者の人や、それを支えてる人たちにとっては、あの判決を撤去に対する抵抗の材料にしていきたいのでしょうが、現実には難しいのかもしれません。