与えられた時間

最近知ったのだが、ジュネをテーマにした『奇蹟の庭』という優れたサイトがあり、そのなかにジュネのインタビューの文章がいくつか試訳されている。

http://www.geocities.jp/captifamoureux/genet.htm

http://www.geocities.jp/captifamoureux/nhk.htm

そのなかで、次のように語られている。
私が生まれたとき、私には一定の時間が与えられた。だれでも、同じ時間を持っている、長さは問題ではなく。この時間は神聖なもので、他人は私を抹殺しても殺してもいいが、私自身は駄目だ。


この言葉のなかで、「他人はかまわない」と言っていることが非常に重要だと思う。
それは、ぼく自身、自分のなかに、自己自身に対する「抹殺願望」のようなものがあると強く感じるからだ(自殺衝動のような攻撃的なものとは違う、もっとシニカルなもの。)。それは、ジュネの言う、唯一の神聖なものとしての時間に対する、否定と破壊を意味するだろう。そしてこれが、他者と世界に対する全ての否定と破壊の源になる。
自分の時間を損なおうとしているぼくには、今、他人に向って言葉で「人を殺すな」とは言えない。言っても、嘘になる。


自分自身が自分に与えられた時間に対して(ジュネは、それを固有なものだとは言っていない。「誰でもが、同じ時間を持っている」と言っている)、どのような態度を持てるかが全てなのだ、きっと。