西武日本一

正直、第5戦の負け方があまりにも悪かったので、まさかあそこから巻き返すとは想像つかなかった。
追い詰められて敵地に戻ってからの6、7戦の投手リレーは、鬼気迫る感があった。まるで、稲尾の時代に戻ったかのようだ。
ぼくが新聞社のデスクなら、朝刊の見出しは


『西武、魂のリレー』


で、決まりである。


もともと有力選手が離脱してる上に、途中で主力に怪我人まで出て、えらい苦しいチーム状態だと思ったけど、若いチームを引っ張る渡辺監督の采配が、このシリーズでは終始際立っていたと思う。
台湾球界での経験が生きたとのことである。
ベンチの渡辺監督は、まるで若い頃の徳川家康みたいな面構えと風格だなあ、と思って見てたが、終盤戦では本当に、三方ヶ原で信玄の軍団に立ち向かったときのような果敢な戦法で活路を開いた。
あの状況では、それ以外に勝つ可能性がなかっただろう。
見ていて、たいへんすがすがしかった。


といっても、「若い頃の徳川家康」も、「稲尾の時代」のライオンズの試合も、見たことはない(ていうか、三方ヶ原は負けたんだよな。)。