『歴史と責任』書評会

最近、何度かエントリーのなかで紹介した『歴史と責任』(青弓社)の書評会が、20日日曜日に東京外国語大学で行われます。
これは、たいへん優れた本だと思います。
当日は、韓国から韓洪九さん、アメリカから米山リサさんがお越しになられるのをはじめ、同書の多くの筆者の方々と、多彩な評者の方々が集まり、発言される模様です。
お知らせいただいた文章から、一部を転載します(書評会の日時や場所・内容などは、後半に書いてあります)。

(以下転載)

『歴史と責任−「慰安婦」問題と1990年代』 発刊と書評会のお知らせ


慰安婦」問題を中心に、いま問われるべき歴史問題への責任を多彩な執筆陣が論じた論集『歴史と責任』が出版されました。
 本書は、アメリカ下院議会をはじめ世界各国の「慰安婦」謝罪要求決議に勇気を得て、国民基金の解散とその正当化をもって歴史修正主義的な「和解」を演出し、「慰安婦」問題を都合よく終わらせようとする動きに抗して編まれました。
 しかもこれは、世界史的規模で植民地主義、人種主義、独裁体制、戦時暴力・性暴力が問われるようになった1990年代の広い文脈から「慰安婦」問題を捉え、その思想的営みの意義をあらためて確認して、成果と課題を整理し、それを未来に引き継ごうとするものです。
 本書の出版に合わせて、こうした問題をより深く掘り下げるために、
下記のような日程で「書評会」を開催します。多くのみなさまのご参加をお待ちしております。


論集『歴史と責任』金富子/中野敏男編著
            (青弓社、2008年6月15日刊)

〔目次〕
はじめに ――「慰安婦」問題と1990年代  金富子

序章 日本軍「慰安婦」問題と歴史への責任
    ――本書の認識と課題         中野敏男

第一章 「慰安婦」問題と日本の過去克服 ――問われた課題
 1.「慰安婦」被害者の「尊厳の回復」とは何か?  西野瑠美子
 2.「国民基金」と被害者の声            鄭鉉栢
 3.「日本軍戦時性暴力被害」訴訟から見えてくること 大川正彦
 4.戦後責任と日本人の「主体」          中野敏男
 6.「慰安婦」問題と脱植民地主義         金富子
  コラム 戦犯裁判と「慰安婦」問題史料      林博史
  コラム ナヌムの家の現在と未来         村山一兵

第二章 世界の過去克服への取組みから
 6.韓国現代史と過去清算の展開          韓洪九
 7.台湾における未完の脱植民地主義        駒込
 8.南アフリカに「真実和解委員会」が残したこと  永原陽子
 9.紛争下の性的暴力と国際法の到達点       東澤靖
10.ドイツの過去克服               矢野久
11.フランスの「過去克服」の現在         菊池恵介
12.批判的フェミニズムと日本軍性奴隷制      米山リサ
  コラム 「朝鮮人戦犯」             内海愛子
  コラム 中国人強制連行             杉原達
  コラム 日系アメリカ人への戦後補償     タカシ・フジタニ

第三章 何がなお問われているのか
13.脱冷戦と植民地支配責任の追及         板垣竜太
14.帰還事業と日本の戦後責任      テッサ・モリス−スズキ
15.在日朝鮮人弾圧から見る日本の植民地主義と軍事化  金栄
16.韓国の歴史論争とナショナリズムの克服     河棕文
17.アメリカ議会下院と「慰安婦」問題       荒井信一
18.植民地女性と脱帝国のフェミニズム       宋 連玉
  コラム 沖縄の「集団自決」と教科書検定     宮城晴美
  コラム ハンセン病資料館設立の経緯とその意義  金貴粉
  コラム 「慰安婦」問題を記録し記憶するために  池田恵理子




書評会
 日時 2008年7月20日(日曜日)午後一時開場
 場所 東京外国語大学本部事務棟二階 大会議室

〔内容〕
<第1部> 午後1時開場  午後1時30分開会   
1.趣旨説明(編者)    
2.筆者として、当事者として
 韓洪九さん   (韓国聖公会大学、韓国の国家情報院過去事真相糾明委員会委員
等を歴任) 
 西野瑠美子さん (VAWW-NETジャパン共同代表)       
3.評者から 
 内海愛子さん (早稲田大学
 鵜飼哲さん  (一橋大学
 岡野八代さん (立命館大学
 鄭栄桓さん  (青山学院大学等)
4.質問 

――休憩――

<第2部>   
5.筆者からの応答   
6.ディスカッション

19:00 懇親会(懇親会については、どなたでもご参加いただけますが、会費をいただきます。ご参加をお知らせください。)

●日時:2008年7月20日(日曜日)
   開場 13時00分  開会 13時30分

●場所:東京外国語大学 本部事務棟2階 大会議室
西武多摩川線(=中央線武蔵境駅にてのりかえ)多磨駅下車徒歩4分。
  または、京王線飛田給駅下車北口からの循環バスで5分、「東京外国語大学前」下車。
 東京外国語大学のホームページ案内図
http://www.tufs.ac.jp/common/is/university/access_map.html参照

●問い合わせ先:東京外国語大学中野敏男研究室 E-mail: tnakano@tufs.ac.jp