『靖国』上映中止の件

予想通りの展開。
日本は、こういう映画が商業映画館で上映できるような国ではないと、世界中に宣伝したようなものだ。
それに、ぼくがもし靖国神社というところが好きだったら(ありえんけど)、残念でならなかっただろう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080331-00000016-flix-movi

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080331-00000144-mai-soci

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080331/crm0803311845029-n1.htm

銀座シネパトスを経営するヒューマックスシネマは「上映中止を求める電話がかかったり、周辺で抗議行動があった。近隣や他の観客に迷惑がかかるため、中止を決めた」としている。一方、Q−AXシネマの営業責任者は「具体的な抗議や嫌がらせはないが、不特定多数の人が集まる施設なので、万が一のことがあってはならない」と、上映見送りの理由を語った。(上記毎日新聞記事から)


「近隣や他の観客に迷惑がかかるため」とか、「不特定多数の人」に「万一のことがあってはならない」という台詞は、こういう場合よく聞くものだけど、そういうとき「商売の都合しか目に入らず、表現や言論の自由を軽視した」というふうに消極的に語られてすまされてしまう。
だが、「表現の自由」というようなものは、誰かが積極的な行動をとって守ろうとしない限り、現実の社会のなかでは決して守れないはずのものだと思う。
だから、理由をつけてそれをしなかった、これらの日本の映画館は、主観的にはどうあれ、客観的には明白な政治的意志を持っていたということになる。
つまり、こういう映画を、こういう理由をつけて公開させないということが、今の日本の商売と社会のルールだ、ということなんだよなあ。


下の公式サイトで、予告編が(今のとこ)見られるけど、なかなか良さそうな作品です*1
ソクーロフのコメントの危惧が、現実のものになってしまった。

http://www.yasukuni-movie.com/

*1:テレビでも見たけど、式典をやってるところに活動家風の人が飛び出して取り押さえられるところは、こないだのギリシャでの聖火をとるセレモニーの場面を思い出させる。