ワーキングプア3・再放送

今回も話題を呼んだ「ワーキングプア3」の再放送が、NHK総合で今夜12時10分からあるそうです。


ところで、先日のこの番組の本放送を見てから、最近読んでる『重力と恩寵』(ちくま学芸文庫版)のなかの、こういう一節を思い出した。

<わたし>が死んでしまった人々に対しては、なんらなすすべがない。完全になんのなすすべもない。だが、ある特定の人物において<わたし>が完全に死んでいるのか、ただ動かなくなっているだけなのかは、そうめったにはわからない。<わたし>が完全に死んでいないのなら、注射でもするように、愛を注いで生き返らせることができる。ただし、それはまったく純粋な愛にかぎるのであって、・・・・(後略)(p053〜054)


ぼくが思うのは、まったく悲惨なことにあるタイプの社会では、その人の魂を完全に死なせないで保っておく(仮死状態にしておく)ことは、(ある意味で)社会的に排除されている場合の方が、容易なのではないか、ということだ。
これはもちろん、生存が保障されたうえでの話だが。
だとすると、そういう(包摂する側の)社会のあり方を根本的に変えていくことと、排除されている人を社会のなかに包摂していくこととは、不可分の営みでなくてはならないはずだ。