今回も引用のみ。
ジャン・ジュネ作、澁澤龍彦訳『ブレストの乱暴者』(河出文庫)から。
- 作者: ジャンジュネ,Jean Genet,渋澤龍彦
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2002/12/01
- メディア: 文庫
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人間は侮辱を受けると、昂然と頭をもたげ、身体ごと前進し、平手打ちや拳固を加えたくなってくる。全身を躍動させ、緊張させ、跳びあがらせる。つまり、それが生きるということだ。また人間は侮辱を受けると、頭をうなだれ、身体をよろよろさせ、ついには倒れて死んでしまうような場合もある。わたしたちは生きんとする姿勢を美しいと称し、死なんとする姿勢を醜いと称する。けれども、さらにもっと美しいのは、さっさと生きて死んでしまう姿勢だろう。 (p64)
ジュネの作品を「戦の文学」と呼んだ、坂口安吾の直感は正しい。