日曜日のニュースから

日曜日、ヤフーのトピックスに印象的なニュースがいくつかあったので、クリップしておこう。


http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20061015k0000m030036000c.html

核実験実施を発表した北朝鮮に対する国連での経済制裁論議が大詰めを迎えているが、国際社会の圧力に関係なく、北朝鮮の一般市民は困窮にあえいでいる。国家予算の大部分が核兵器開発など軍事部門にあてられ、市民生活の改善はほとんど図られていない。国際的孤立が進む中で市民はいっそう苦しい生活を強いられそうだ


毎日新聞の記事ということで、なんか「たて並び社会」の特集を思い出した。他のマスコミも同じような報道をよくするけど、どことは言えないけど、それらとは少し視点が違う気がする。朝日とも違う。
それで、地方の実情は、やっぱりこういうものなんだろうと思う。
食糧支援などに関していうと、以前から朝鮮の体制に批判的な人たちは、「あの体制だから、一般の人々が苦しむのだ。支援物資も平壌や一部の階級の人間が独占してしまうし。支援をしないことによって現体制を追いつめ、崩壊させることが、結局は人々にとってはいいことなのだ」という主張をしていた。
ひとつの立場としてその言い分も分かるけど、支援をまったく止めてしまうというのは、やはり違うんじゃないかと、ずっと思っていた。
そこへ今回は「制裁」ということなので、各国からの支援物資はますます届かなくなるだろう。


ぼくが思うのは、もし「あの体制」でなくて、あの国の人たちが同じような窮状に陥ったとき、日本の世論は違った対応を示しただろうか、ということである。
結局、いまの朝鮮の政治体制をどう考えるか、あるいはこの国に対してどういう態度をとるかという議論よりも前に、というよりも、分析や政策の議論をするよりも前に、その前提となるべきものがあるはずだ。
それは、この土地に、自分たちと同じ人間が住んでいるという事実である。
そのいわば現実感が欠けたところで、その欠けていることを土台にして、体制をどうするかという問題(「民主化」)とか、「制裁」ということが議論されている。
民主化ということになら、別に反対ではないけど、その「土台の欠如」が、ぼくには根本的な問題だと思えるのだ。


それは、自分たちが生きているこの社会、自分たちの生のあり方をどう見据えるかということと、たぶんつながっている。自分たちの命の価値が、薄っぺらなものとしてしか扱われないということへの無念さやくすぶりや諦めが、この隣国に対する表面的な感情の底にあるのではないか。
近隣の国の人たちの生死を「ワイドショー的」にしか感受しないということは、自分たちの生死を「ワイドショー的」にしか考えられない、そう考えて流さなければやりきれないという現実と結びついているのだ。
その意味で、この国の人たちをめぐる事柄は、やっぱり自分の問題でもあるのだと思う。


http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061016k0000m010091000c.html

 自民党中川昭一政調会長は15日、テレビ朝日の討論番組に出演し、北朝鮮の核実験問題をめぐる日本の核保有論について「(日本に)核があることで、攻められないようにするために、その選択肢として核(兵器の保有)ということも議論としてある。議論は大いにしないと(いけない)」と述べた。その上で「もちろん(政府の)非核三原則はあるが、憲法でも核保有は禁止していない」と強調した。


土曜日の夜に、日本の核武装論ということについて書いたところだが、日曜には早々とこんな発言が出てきた。
欲しかったものを先に手に入れられて悔しい、といったところか。「核兵器の拡散」ということには、ほんとは大賛成なのだろう。


こういう発言が出てくること自体は、当然予想されたことだけど、ひとつ思うのは、小泉政権のときだったら、こんな発言を一人一人が気軽にしただろうか、ということだ。
経験の少ない人が首相になったことで、完全にタガが緩んでるという感じがする。
その一種の弱体さが、この政権の一番危うい点かもしれない。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061016i301.htm
この記事もすごく心に引っ掛かったけど、想像であれこれ書くのは気が引ける。
ただ、身近な場所で起こった事故だということもあり、あの出来事のことは、そしてあの出来事のことを普段はほとんど忘れて暮らしているというそのことが、とても気になっている。
当たり前の日常のなかに食い込んでいる見えないトゲかクサビみたいな感じだ。


追記:三件目の記事のリンクが切れていることを教えてもらいましたので、同じニュースを伝える、やや詳細な記事と差し替えました。