無法状態を製造するものたち

あらためて言うまでもないことだけど、こういう木で鼻をくくったような報道を耳(目)にすると、腹が立つし唖然とするよなあ。


イラク 85%が“治安よい”(NHKニュース)

http://www3.nhk.or.jp/news/k10014765431000.html

イラク戦争の開戦からまもなく6年になるのにあわせてNHKなどがイラクで行った世論調査で、住んでいる場所の治安状況が、「よい」と回答した人が85%に上り、治安の改善を実感していることがわかりました。


この調査はNHKがアメリカのABCテレビやイギリスの公共放送BBCと共同で実施したもので、先月イラク全土で18歳以上の男女2228人を対象に聞き取り調査を行いました。それによりますと、現在の生活状況について、「とてもよい」と答えた人と「まあまあよい」と答えた人はあわせて65%で、去年に比べて10ポイント増えました。また、住んでいる場所の治安状況については、「とてもよい」と「まあまあよい」と回答した人をあわせると85%に上り、前回より23ポイント増えてイラクの人々が治安の改善を実感していることがわかりました。一方で、今の治安の回復傾向が今後も続くかどうかについては、「そう思う」と答えた人が74%でしたが、「そう思わない」と答えた人は23%と去年より6ポイント増え、アメリカ軍撤退の道筋がついたことで、再び治安が悪化しかねないとの懸念を抱く人がやや増えていることをうかがわせています。またアメリカ軍などの撤退に伴ってイラク軍だけで治安を維持できるかどうかについて、「対応できる」が59%に対し、「まだ対応できない」が40%となり、イラク人自身による治安維持に不安を抱く人も少なくはない現状が浮き彫りになりました。


治安が改善されたって言ってるけど、そもそもいい加減な理由で一方的に戦争を仕掛けて国土も人心も滅茶苦茶に破壊した結果、最悪の治安状況を作り出した根本の責任はどこにあるんだよ。
ABCやBBCNHKが帰属してる国々に決まってる。
だいたい、何が治安の悪い状態って、いつ「唯一の超大国」やそのお友達が戦争を吹っかけてくるか分からない状態ほど、「治安の悪い状態」はないだろう。
一方的で不正な戦争で、たくさんの人を殺しまくっておいて、何が「治安の改善」だ。


最大の破壊者、最大の犯罪者は、責任を問われることなく政権の座を去った。
そして、自分たち(大国)が犯した過誤には一切反省が加えられることなく、「和解」とか「治安の改善」とか「新しい世界秩序」という言葉が当然のように、恥じらいもなく語られ、流通している。
これこそを、(世界的な)「無法状態」というのだ。


自分たちでその無法の原因を作り出しておきながら、それを改善(反省・謝罪・責任の明確化)することなく、治安状態がよくなったとか悪くなったとか、世論調査の結果だけをもっともらしく流す。
その調査に答えてるのは、調査を行ってる側の国々とその軍隊の暴力によって、最悪の状態に追い込まれてきた人たちなのだ。


治安を回復させ、本当に平和な社会が実現する方向に進んで行こうと思うなら、暴力による巨大な破壊と不正義を行った側が、その行為を真摯に反省して、自分たちの行動と考え方を根本的に切り替えていく以外の出発点はありえない。
アメリカ自身も自分たちのこれまでの姿、今も根本では変更されていないその姿を直視しないで、何かを変革することはできない。
世界全体もまた、大国によって作り出し続けられている、この最悪の無法状態(暴力の蔓延)から、決して抜け出せないのだ。