続・『靖国』上映中止の件

正直に書くと、はじめて『靖国』という映画の存在を知ったとき、「ほんとに日本の商業映画館で公開出来るのか」と思った。
ネグリが来日するという情報を去年聞いたときも、彼の近況を知らなかったせいもあるが、「いったい、日本に入国できるのか?」というのが最初に思い浮かんだことだった。
それから日教組の教研集会をプリンスホテルが断ったというニュースを聞いたときも、強く思ったのは、そもそもあのプリンスホテルがいったんは予約を受け入れていたことの方が信じがたい、ということだった。


ぼくの感覚は、まったく民主的ではないのだろう。
だが恐ろしいのは、現実が、ぼくのこの極端な感覚の方に似通ってきている、ということである。



今回の件については、ご承知のように、t−hirosakaさんが素晴らしいエントリーを書いておられ、それに何も付け加えることはない。
「迷惑」や「安全」への危惧(という言い訳)が、言論や表現の自由に優先するような社会のあり方を許してしまっているのは、ぼくたち有権者、消費者自身であることを忘れてはいけないだろう。
バカな国会議員や、妨害しようとした右翼や、電話とかメールを送りつけた連中が悪いのは分かっている。それを批判していくことが、第一義ではある。
しかし、そうした批判を含めて、企業(映画館等)や政治家に、表現や言論の自由を守らせることが出来るのは、唯一有権者・消費者としての力を持つ、ぼくたち以外にはない。
そのことを肝に銘じたい。